【HP】きみらは青春でできている。《賢者の石》 (ページ18)

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Aside

「...あら？」

飲み過ぎたからか、自分が今どこを歩いているか分からなくなった。いつの間にか今は使われていない教室にまで来てしまったようだ。

「この鏡...」

確か、みぞの鏡とか言ったか。見た人の望みを映す鏡。

自分は何が映るだろうと好奇心から覗いてみることにした。

「、ぁ」

真ん中の私と、隣にはレギュラスがいて、その周りにはかつての五人がいる。

リリーの肩に手を回しているジェームズ。

私の逆隣でかっこつけた笑みのシリウス。

それを呆れ混じりに笑って見ているリーマス。

シリウスに巻き込まれたように前に引っ張りだされているピーター。

それは確かに私の望みを映していた。

そう、ただの望み、なのだ。

もうそれが叶うことはない。

「...会いたいなぁ...」

そっと鏡に触れてみる。ひんやりとした硝子の感触だけで、人肌は一切感じられなかった。

だが、私は一人ではない。私を望んでくれている人がいるのだ。こんな鏡にくっついている訳にはいかない。

私は振り返らずにその教室を出て、真っ直ぐ自室に帰った。

「あっ、帰ってきた。僕も行くつもりだったのに、Aは何も言わずに行っちゃうんですから。

全く、皆僕の肉球を触るんですよ」

私が帰るなり、溜息を吐いて愚痴るレギュラスに、少し安堵する。

何がかは分からない。けれど、再確認出来た。