【HP】ぼくらは青春で出来ている！四年生 (ページ45)

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Clinging smile ページ45

Aは引っ張られながら走る。

やっとの事で小屋を抜け出した二人は、不自然に置いてあったティーカップに飛びつくように触れる。

それがポートキーだと確信していた。

それは案の定ポートキーで、バシッ、と音がしてまた違う場所に叩き落とされた。

「っ、た...大丈夫か、A」

今度は確り隣同士で落とされ、ほっとする。シリウスはAの様子を見るが、彼女はまだ目が虚ろだ。

「お母様よ、あれは間違いなく私のお母様よ！信じて、お願い＿」

「ああ、分かってる」

「え...？」

やけにあっさり言う事を飲み込んでくれた彼に、逆にAが拍子抜けする。

「あの時＿＿死の呪文を唱える前、あの人は俺に目配せした。Aを守れってな。

それとあのティーカップ(移動キー)も、あの人だろ」

近くの椅子に腰掛けたシリウスがAに諭すように言う。

Aは更に顔を顰めた。

「どうして＿＿私を、置いていったの」

Aの母に対する悲痛な呟きに、先程初めて感情を顕にしたのを思い出して目を逸らす。

「あ＿＿ごめんなさい。大丈夫なんだけど」

無理矢理口角を上げて笑うAに、シリウスは苛立ちを隠せなかった。