【HP】ぼくらは青春で出来ている！四年生 (ページ42)

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シリウスは対抗することよりも、逃げることの方が賢明だと気付き、Aの腕を引っ張って反対方向に走った。

だが、Aは動かなかった。

「おい！？」

シリウスが驚いた顔でAを見る。

目を見開いて、息をしているのかどうか分からない程に動かない。

「お母、様？」

「...は？」

Aの口から出てきた言葉にシリウスは耳を疑う。

その声を逃さず、ベラトリックスはにやりと笑った。

「お母様？それは本当かい、アイラ」

アイラと呼ばれる女性は、確かにAに似た髪色をしていた。

「＿＿いいえ。知らないわ、こんな子」

だが、アイラは無表情のままゆっくりと首を横に振る。

Aが何か言おうと前に出た瞬間、ベラトリックスの口がまた意地悪く弧を描く。

「なら証明してみな。

＿＿アイラ、あんたが此奴を殺せ」

シリウスの目が見開かれる。

Aはその場に張り付いたように動けなかった。

「...仕方ないわね」

躊躇なく黒いローブから杖を抜く。

「アバダケタブラ(息絶えよ)＿」

一瞬だった。

緑の閃光が真っ直ぐ放たれる。危機一髪で、シリウスはAを後ろに引き倒す。

「しっかりしろ！！A、行くぞ！」

「っ...待って、私よ！Aよ、お母様！」

叫ぶAの言葉を無視し、シリウスは閃光を防ぎながら走った。