【文スト】毎日ペンを握るのも悪くないと思いました。

三話 ページ3

「心配したのじゃぞ」


「...すみません」




紅葉さんは眉を八の字にしたまま近寄り、私を抱きしめた。

懐かしい様な香りを堪能しながら、戻ってきたんだなあと実感する。




「余り中也を子供扱いすると拗ねるぞ」


「何となくしちゃうんですよね、可愛くて」


「中也も哀れじゃな」




苦笑いで会話を終わらせた紅葉さんは、また真面目な顔に戻る。




「怪我は平気なのかえ？」


「まだ撃たれた所の痛みはありますけど、そんなには。中也君に森さんを呼んでもらってるので、それ待ちです」




そうか、と一言だけ云った所で、森さんと中也君が揃ってやってきた。




「良かった、目が覚めたんだね」


「森さん、」




微笑む森さんは、矢張り織田作を間接的に殺した本人とは思えない程優しくて、一本間違えれば人間不信になっているだろう。

一通り見てもらって、森さんがうん、と満足気な一言を云った所で、診察は終わった。




「偶に包帯変えておけば大丈夫だよ」


「有難うございます」




森さんは私の怪我した時のことについては何も無く、直ぐに出ていった。忙しいのか、私に興味がないのか。

幹部補佐だから興味が無いわけではないと思う。自分で云うのもあれだが恐らく前者だ。

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