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#8 絵画 ページ9

鏡花side


社員行きつけの喫茶処。"うずまき"


其処の外観に設置されている色硝子(いろガラス)の歪んだ窓越しに見えるのは、彼女達の姿だった。





彼女はあまり気に入らない。


でも、それは個人的な感情だから。それを彼女に押し付けることは出来ないけれど、日和や敦が話しているのを見ると、何だか…嫌だ。





否、それよりも私達が気にするべきは日和の"親友"。


嫌な私情に囚われてはいけない。




日和が此処に居るということは、その親友が近くにいるのはほぼ確定だろう。


向かいの席にでも居るかなと思い、目を凝らし覗いてみる。






大きめのノートパソコンで顔は見えなかったけれど、存在は確認できた。



この人が、日和の親友…





「見つけた」


私が声を発すると、瞬間的に窓に視線を移す彼等。



「あの人が…





良かった、女性だ…」



安心したように胸を撫で下ろす敦。


この人は虎の目を持っているから、色硝子で歪んだ視界でも性別まで判断できたんだ。





女性…だとしても、油断は出来ない。



恋愛対象には成りにくいとしても、女は(たち)が悪いから。




陰湿ないじめや悪口。そんなの私達は見ていられないし、何よりも日和が耐えられるとは思えない。



彼女が日和に相応しい人間か、親友として取るに足る人物かどうか。私達が確り見極めなくちゃ。





.






「日和、彼女が例の親友さん?」


太宰さんが日和に耳打ちする。


私達にはギリギリ聞こえる大きさだが、彼女には聞こえていないはずだ。




「あ、うん。そうだけど…


何でそんな小さな声で云うの?」



不思議そうに首を傾げる日和。

可愛い。破壊力が尋常じゃない。




気にしなくていいよと、明らかに悶ながら云う太宰さんを余所(よそ)に、チラッと例の親友の方を見る。




「(あ)」




パソコンは既に閉ざされており、先程まで珈琲があった場所と入れ替わるようにして置いてあった。



そのお蔭で、今までは隠れていた顔が(あら)わになっている。









流石日和の親友と云うだけあってか、彼女はとても美しかった。



全体的に色素が薄く、果敢ない(儚い)イメージを抱く彼女は、何処か人間味を帯びておらず、まるで絵画を見ているような感覚に浸る。

#9 不思議な状況→←#7 あの人の友人



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ハコ28 - とっても面白いです。続きを楽しみに待ってます (2023年4月6日 13時) (レス) id: 2c42bd39d0 (このIDを非表示/違反報告)
生きる文鎮(プロフ) - 𝑩𝑰𝑮𝑳𝑶𝑽𝑬────────── (2023年1月25日 11時) (レス) @page17 id: d1f7e0ec66 (このIDを非表示/違反報告)
- これは好きだ… あえてヒロインじゃないのがいい!!! 更新頑張ってください!!! (2023年1月18日 19時) (レス) @page11 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
めろ。(プロフ) - す、、、好きだ____________文才ありすぎですわ!羨ましいですわ!分けてくださいまし!!!!!!(???) (2023年1月16日 22時) (レス) id: 8e324f8e54 (このIDを非表示/違反報告)
桜音リシア - この作品すごい面白いです!!ヒロインではなくヒロインの友達(仮)っていう設定が気に入りました!応援してます!更新頑張ってください!! (2022年10月11日 16時) (レス) @page17 id: 332c31e382 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:砂糖葉 | 作者ホームページ:nhatev-hdfs yue1  
作成日時:2022年1月22日 17時

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