ココナット一世 ページ18
Aが話を噛みしめるようにじっと下を向いていると、「んん…」と少し苦しげな声がした。
A「Qちゃん?起きたの?」
Aは隣のベットにいるであろうQ(部屋にはベットが4つあり、隣のベットのみカーテンで仕切られている)に話しかけるが返答はない。
Aは残念そうに尾崎の顔を見る。
A「…まだかあ……でもあと少したったら起きますよね?」
尾「そうじゃのう。それにもしかしたら狸寝入りしとるだけかも知れんぞ?」
いたずらっぽい、妖艶な笑みを浮かべる尾崎をAは陶酔しながら見ていた。
_綺麗だなあ…
そんなAの時間を強制終了させたのは「無い!無い!無い!」と叫ぶQの声。
シャッとベットの周りを仕切っているカーテンをスライドさせて出てきたQの顔と云ったら!
正に悪鬼羅刹の如くといった表情だ。
Q「姐さん……僕の人形……何処にあるの……」
憎しみ、哀しみ、怒りが濃縮されたような声でQは尾崎に聞いた。
しかし尾崎は怯むどころか口元を少し歪めて「さあてのう…わっちはなあんも知らぬぞ?」と流し目でQを見た。
Q「嘘だ!どうせ姫草ユリ子が僕を撃ったから詛いが発動しないように持っていったんでしょ!返して!返してよ!僕の…僕のココナット一世を!」
A「ココナット一世!?」
意外なネーミングに驚きを隠せない。
尾崎も「あれはココナット一世というのかえ…」と少し驚いた表情だ。
Q「そうだよ!お願いだから、返して!」
尾「返すもなにもわっちは何も知らぬというとるに。さて、わっちは此れで失礼するぞ。邪魔したな。」
椅子から立ち、シズシズと出口へ向かう尾崎。
その尾崎を止めたのはQだ。尾崎の前に小さな躰を精一杯に広げながら立ちはだかる。
Q「逃げるな……嘘つき。あれは、僕の大切な御守りなの!お願いだから、返して!」
尾崎は氷のような冷たい瞳でQを撫でまわすように見ると「わっちは知らぬ」とQの肩を軽く突き飛ばした。
Qはバランスを崩して尻餅をついてしまった。
尻餅をついたQの目から涙が次々と溢れでる。
Q「お願いだからア……返してエ……」
ヒック、ヒック、としゃくりあげるQに目もくれず尾崎は出ていってしまった。
しかしAははっきり見てしまったのだ。
去り際、尾崎の口が「済まぬな」と動くのを。
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マシュマロ少佐(プロフ) - しいたけさん» ありがとうございます!本当ですか?嬉しいです! (2018年2月4日 11時) (レス) id: a3b83e4e54 (このIDを非表示/違反報告)
しいたけ - 続きが気になります。更新頑張ってください!あとトプ画が可愛いです (2018年2月4日 10時) (レス) id: 680e246f07 (このIDを非表示/違反報告)
サクハ(プロフ) - マシュマロ少佐さん» わわわ!!ほ、本当ですか?返事遅くなってごめんなさい、そしてありがとうございます! (2017年11月8日 20時) (レス) id: 0fcac691dc (このIDを非表示/違反報告)
マシュマロ少佐(プロフ) - 云い忘れてしまって申し訳ないんですが、サクハ様の作品が大好きなのでとても嬉しいです! (2017年10月30日 0時) (レス) id: a3b83e4e54 (このIDを非表示/違反報告)
マシュマロ少佐(プロフ) - なんかもう色々とありがとうございます!私にはもったいない言葉すぎて言葉がでてきません! (2017年10月30日 0時) (レス) id: a3b83e4e54 (このIDを非表示/違反報告)
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