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その出会いは突然に その3 ページ4

もう30分は経っただろうか。結局ぐずぐずに泣いてしまって、少しだけ早く泣き止んだ清光がティッシュを貸してくれたのがほんの少し前のことだ。
2人して涙やら何やらを拭いている最中に目の周りを真っ赤にして鼻をすすりながら
「俺、いつもはもっと可愛いんだからね」
と清光がつっけんどんな態度を取るものだから、「今も可愛い」と脊髄反射で言ってしまった。なんだこの口説き文句。でも清光はいつだって可愛いと思います。そういうことじゃないって顔も可愛いよ。世界一可愛いよ。
逆に今の私の顔やばいだろうな、と思うと穴に埋まりたくなるので考えることをやめた。

私は本丸のみんなのことについて知りたいことがいっぱいあるし、清光も清光で私の普段の生活について聞きたかったらしい。私が面白い友人の話だったり部活のことだったりを話せば、清光は誰が料理上手だとかこの前とてつもなく大きいスイカが出来たとか、そんな話をいくつも教えてくれた。
他愛もない話を重ねていると、そうだ、と突然独り言のように呟いてから清光がこちらをじっと見てくる。さっきから思っていたけれどとてつもなく顔がいい。
「お願いがあるんだけど」
「うん?」
「滝行はやめて。風邪引いちゃやだからね」
約束、と清光が小指を差し出してくる。なんだこの子本当に可愛いな。口元がにやけてくるけど我慢。
「わかった」
そっと自分の小指を絡める。ほんのりと暖かさが伝わってきて、なんだかまた眠たくなってきた。やばい。まだ話したいこといっぱいあるのに。
指切りをして、体温が離れた瞬間に、突然私の意識は閉じた。



……目を開ける。
大きく伸びをして、ベッドから起き上がる。当然見えるのは見慣れた自室の天井だ。
随分リアルな夢だったなあ、と半分寝ぼけたままに制服を探って驚いた。ハンカチがない。
いやいや、夢だしな、自分の都合がいいように記憶が作り替えられていてもおかしくないし。本当はハンカチなんて持ってなかったんだろう、きっと。
滝行しようかなって言ったのを知ってるのも、私の想像の中の話だからだろうし。

……でも、清光の手、あったかかったな。
照れくさそうに笑っていたあの子の顔を思い出す。滝行は冗談だけど、可愛い近侍殿との約束は守らなくては。とりあえず、しっかり風邪予防をしよう。
スリープモードになっていたスマホの電源をつけ直して、もう一度刀剣乱舞を起動させる。画面の向こうには相も変わらず、清光がすました顔で立っている。

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ミミミ(プロフ) - こだぬきさん» ありがとうございます!こだぬきさんの元にもこだぬきさんの刀剣男士たちが訪れますよう願っております、私もいつか彼らとお話してみたいです(*´`)ゆっくり更新ですがゆるりとお待ち頂けると嬉しく思います。 (2019年5月2日 22時) (レス) id: 8134640c57 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - はじめまして!お話読ませて頂きました!私も実際に夢でもいいから自分の刀剣達に会いたいです…(*´ω`*)これからも応援させて頂きます!また遊びに来させて頂きます! (2019年5月1日 16時) (レス) id: 680cc78f50 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミミミ | 作成日時:2018年12月2日 16時

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