あの時キミに・・・【2】 (ページ8)

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部屋に着くなり、みっくんが鍋の準備を煽る。
準備と言っても、用意されていた具材を切って市販の鍋用スープに入れるだけの簡単なもの。

「手伝おうか？」

裕太くんがキッチンにやってきた。

「準備はAに任せて、先に飲もうぜ。」

いつの間にかみっくんが冷蔵庫から缶ビールを取り出し、裕太くんをリビングの方へ引っ張る。
少し困った表情でこちらを見ながら連れていかれる裕太くんに笑顔で頷く。

そこへ来客を知らせるチャイムが鳴った。

「お邪魔しまーす。」
「いや～、寒いねぇ、外は。」

そんな会話が玄関から聞こえてくる。
鍋に参加するみっくんの後輩たちが来たようだ。

「お邪魔しま～す。」

と、現れたのは３人の男性。

「お！女の子がいる！」

「誰？誰？ミツ先輩の彼女？」

「ちげぇーよ。従妹だよ。」

２人はこちらを見てみっくんと一緒に騒いでいる。
もう１人は真っすぐ裕太くんのところへ向かい

「たまぁ～。」

そう言って抱きつこうとしたところ

「うるさい宮田。帰れ。」

と、手で払われながらも嬉しそうに笑っている。

「おまえら、とにかく座れ。」

みっくんが仕切りだす。
鍋の準備も終わり、それぞれが落ち着たところで

「A、おまえもこっち座れよ！」

と、みっくんに呼ばれた。

「ここ座って！！華がないと！！」

先ほどみっくんと騒いでいた男性２人が彼らの間にスペースを作り床を叩いている。
促されるままに着席し、鍋が始まる。

男性５人の中に交じって鍋を囲むなんて、少し気が引ける。
だって容姿に自信があるわけでもないし、気の利いた話もできない。
「華」と呼ぶには役不足もいいところだ。

それでも・・・

もう少しこの場にいたい。