あの時キミに・・・【2】 (ページ6)

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「どこまで運ぶの？」

硬直している私に裕太くんが言った。
彼は既に私の荷物を自転車の籠に乗せ終えている。

「え、いや、大丈夫です！ここから近いので！！」

「手、赤くなってるよ。」

自分の掌を見ると確かに真っ赤だ。
裕太くんが微笑みながら言う。

「行こっか。」

その笑顔はまるで天使のよう。
西日に照らされた裕太くんのシルエット、柔らかそうな髪の毛。
カフェにいたあの頃の感覚に一瞬で引き戻される。

胸の奥がザワザワと騒ぎだす。

・・・もう少し一緒にいたい。

それを遮るように、コートのポケットに入れておいた携帯が振動がした。

「ごめんなさい、ちょっと電話に出てもいいですか？」

裕太くんが優し気な顔で頷く。

電話の相手はみっくん。
どうやらみっくんも迎えに出てくれていたようだった。
通話状態の携帯を片手に、前方から走ってくるみっくんの姿が見えた。

「A～！」

こちらに近づくにつれ、みっくんの顔がだんだんと怪しんだ表情に変わっていく。
無理もない。
隣に裕太くんが・・・みっくんにとっては知らない男性が一緒にいるのだから。

みっくんが

「こいつ誰？」

と言わないことだけを切に願う。

しかし、私の心配とは裏腹にみっくんの口から出た言葉は思いがけないものだった。

「なんで玉が一緒にいるんだよ？」

タマ？？

そしてみっくんと裕太くんはお互いを見て驚いている。