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「ピーチティーでいい?」
裕太くんが言った。
「え・・・うん。」
少し戸惑いながらも返答した。
運ばれてきたピーチティーを久しぶりに飲むと、あの頃に戻ったかのような感覚。
人は味や香りでその時のことを関連付けて記憶しているって何かで聞いたっけ。
正に今、思い出されるあの頃の記憶には窓際に座る裕太くんがいる。
そして今は目の前に。
「この間、言えなかったんだけど・・・」
裕太くんが話始めた。
「Aちゃん、ここでよくピーチティー飲んでたよね。俺もこのお店に通ってたから、Aちゃんのこと知ってたんだ。」
「えっ」
私のこと知ってた?
「でも急に来なくなっちゃって、この間Etenalに来てくれた時は驚いたよ。」
嘘みたいだ。そんなこと。
裕太くんが私を知っていたなんて。
「ごめん、ビックリした・・・。今まだ頭がついていってなくて。」
「そうだよね、ごめんね。急にそんなこと言われても困るよね。」
裕太くんが頭を掻きながら苦笑いする。
「違うの。私のこと覚えててくれたなんて思ってもみなかったから。私も裕太くんのこと覚えてるの。」
「え、でもこの間、Etenalでは全然そんな素振り・・・」
「裕太くんは私のこと覚えてないだろうなと思ってたから。」
「そんなことない。ちゃんと覚えてる。いつもこの席に座ってた。」
「裕太くんはあの席だったよね・・・。」
そう言って、窓際のテーブル席に視線を向けた。
「そっかぁ、知ってたんだ。」
裕太くんの顔がクシャっと緩んだ。
「俺、実はスゲー緊張してた。言おうか迷ってたけど、言って良かったわ。」
目尻が下がったその笑みの愛くるしさに胸がキュンと高鳴る。
裕太くんはピーチティーを満足そうに飲んだ。
「はぁ。なんか、お腹すいたね。ごはん食べに行かない?」
願ってもみない裕太くんからの誘いを当然断るわけがなく、私たちはEternalへと向かった。
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作者名:Pyon-co | 作成日時:2014年12月8日 20時