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「裕太くんと里香ちゃんのことはあまり気にする必要はないと思うけど。それよりも、Aちゃんと里香ちゃんの関係の方が・・・。」
「私と里香ちゃんですか?」
「うーん。とりあえずAちゃんの気持ちがハッキリしないことには進まないわね。」
「私の気持ち・・・もうちょっと考えてみます。」
「考えすぎないようにね。考えるだけじゃ答えが出ないこともあるから。」
これが恋愛経験値の違いだろうか。
律子先輩の言葉はいつも私の心に残る。
考えるだけじゃ答えは出ない・・・か。
結局、律子先輩との「打ち合わせ」を終えてからデスクに戻った後も仕事はあまりはかどらなかった。
終業のチャイムが鳴ったところで今日は残業をせず、定時で帰ることにした。
外はもう真っ暗だ。
コートを着ていても寒さが肌に突き刺さる。
会社のエントランスを出たところで声をかけられた。
「Aちゃん。」
その声のするほうに振り向くと、そこには裕太くんの姿があった。
「裕太くん!」
「今帰り?」
「うん。裕太くんも打ち合わせ終わったの?」
「うん。あのさ、ちょっとお茶しに行かない?」
思いがけない裕太くんからのお誘い。
うわ、どうしよう。
「あ、えっと・・・ダメかな?」
「ダメじゃない!」
慌てて返事をすると裕太くんが微笑んだ。
行くお店は決まっているようで、裕太くんは迷わず歩き始めた。
それにしても、この時間でお茶って。
なんだろう・・・。
先を歩く裕太くんは時々振り返りながら、歩くスピードを調節してくれている。
その道のりは歩き慣れたものだった。
向かってるお店ってまさか・・・いやそんなはず・・・。
心のどこかで期待してしまっている自分がいる。
そして裕太くんが足を止めた。
「ここだよ。」
「ここって。」
そこは、あのカフェだった。
裕太くんに着いて店内に入る。
数年前と全く変わっていない内装に懐かしさを感じた。
相変わらず時間がゆったりと流れている。
裕太くんに促されるまま座った席は私の定位置であるソファー席だった。
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作者名:Pyon-co | 作成日時:2014年12月8日 20時