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里香ちゃんはなんとも言えない顔で裕太くんを見ていた。
「なになに、知り合いなの？」
横尾先輩が２人の間に入る。
「大学の後輩なんです。」
裕太くんが答えると里香ちゃんはうつむいた。
なんだろう、この２人の間に流れる微妙な空気は。
その空気を断ち切ったのは律子先輩だった。
「ところで裕太くん、どうしてうちの会社に？」
「裕太は今年の春からうちの社員になるんだ。設計課希望って聞いたから、勉強も兼ねてバイトとして俺のプロジェクトのアシスタントをしないかって誘ったんだ。」
そう言いながら太輔先輩が裕太くんの肩に手を置いた。
裕太くんの肩に手を乗せて横に立つ太輔先輩と横尾先輩。
こうして３人が並ぶとまるでモデルのようなビジュアル。
まわりの女性社員たちが騒ぎ始めた。
「じゃ裕太、打ち合わせ行こう。」
太輔先輩と横尾先輩は裕太くんを連れて社員ゲートを通っていった。
私たちも午後の就業時間に遅れないようにデスクに戻った。
午後の仕事はあまり手につかなかった。
原因はわかってる。
裕太くん、里香ちゃんのことを「里香」って呼んでいた。
大学の後輩って言ってたけど、里香ちゃんのあの様子からするとただの先輩後輩の関係じゃないように思えて仕方ない。
直接、里香ちゃんに聞けばいいのに。
もしかして２人は恋人同士だったのではないか。
そう考えただけで胸が騒ぐ。
それが事実とわかったら、私はショックを受けるのだろうか。
なぜ？
そもそも、なぜ私が２人の関係を気にしているんだろう。
答えの見つからない疑問が頭をグルグルとまわり続ける。
仕事に集中出来ない私は席を立ち、給湯室に行くと律子先輩がコーヒーを淹れていた。
「Aちゃん、コーヒー淹れに来たの？」
「はい。なんか仕事に集中できなくて。」
「どうしたの？なんかあった？」
「その・・・。」
なんて答えればいいのか迷っていると
「よし、ちょっと待ってて。」
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作者名：Pyon-co | 作成日時：2014年12月8日 20時
