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それで、横尾先輩どうでした?」
「うん、予想通りグチグチ言われた。」
たまたま仕事の終わる時間が一緒だった律子先輩に誘われ、会社近くのダイニングバーで夕食を食べることになった私。
先週の飲みで律子先輩は記憶を失くすくらい酔っ払い、横尾先輩に散々怒られたらしい。
その愚痴を今、私が聞いている。
「渉って話が長いのよ。何度も同じこと言うし。」
「それは大変でしたね。」
「言ってることは正しいんだけどさ。まぁ、今度何か奢るってことで許してもらったけど。」
「先輩たち、本当に仲いいですよね。」
「まぁ、苦楽を共にしてきたからかな。」
律子先輩が懐かしそうにワイングラスを眺める。
「そうゆうのいいですね、私の同期は辞めちゃってる子が多くて。」
私が入社した時は採用人数が少なかったうえに、なぜか女性ばかりの採用でほとんどの子が1年足らずで退社してしまった。
「それも寂しい話よね。」
「はい。だから先輩たちと一緒に飲みに行けて本当嬉しかったんです。」
「そっか。」
律子先輩は優しく微笑んだ。
「ねぇ、今日はメンズもいないし、この間ちゃんと聞けなかったから。
Aちゃんって浮いた話聞かないけど、彼氏とかいないの?」
この間のからかうような律子先輩とは違って今日は大人の女性といった雰囲気だ。
「いないですよ。本当に全く。」
学生の頃は社会人の方が色んな人に出会えるんだと思っていた。
でも現実は違う。むしろ学生の頃より出会いが少ない。
就職活動や卒業論文に追われていた一昨年、そして入社して仕事を覚えるのに必死だった去年。
この人かっこいいなとか、素敵だなとは思っても恋にのめり込めるほどの余裕がなかった。
「じゃぁ好きな人とか、気になる人くらいいるでしょ?」
律子先輩が聞く。
「そうですね・・・」
私の気になる人・・・
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作者名:Pyon-co | 作成日時:2014年12月8日 20時