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藤ヶ谷先輩が私の人差し指をつかみハンカチで抑えようとする。
「大丈夫です。血が付いちゃいます。」
「血が出てるなら尚更だろ。」
先輩は引っ込めようとした人差し指を再び掴んでハンカチで包んだ。
「すいません。」
指先に痛みはない。それよりも先輩が手を掴んでいることに意識がいってしまう。
「A」
「はい?」
「律子のこと、律子先輩って呼ぶようになったんだ?」
ふいに先輩が言った。
「はい、この間飲んだ時から」
「ふーん。じゃ、俺のことも名前で呼んでよ。」
先輩がこちらを見つめている。
「え?」
「俺もこの間一緒に飲んだじゃん。」
「そうですけど。」
「ほら、呼んでみて。」
先輩が手を引き寄せて顔が近づく。
「先輩?」
「手、放してあげないよ?」
「た・・・太輔先輩。」
「A、顔真っ赤。」
そう言って手を離すと、さっきの真剣な表情から一転、楽しそうに声をあげて笑った。
「良くできました。」
先輩は私の頭にポンっと手を置いた。
「先輩って、結構いじわるですよね。」
「知らなかった?これからは名前で呼べよ?」
先輩はニッと笑うと手をひらひらと振って会議室を後にした。
会議室を見渡すと、私が持っている配布分を残してすべての準備が終わっている。
太輔先輩・・・。
先輩の意地悪は心臓に悪い。
いつも先輩のペースにのせられてる気がする。
また、あの時のお礼言えなかった。
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作者名:Pyon-co | 作成日時:2014年12月8日 20時