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初めて彼を見たのは3年前だった。
大学生の頃
就職活動中だった私は今勤めている会社の説明会帰りに見つけたカフェがお気に入りだった。
そのカフェは駅から少し離れたところにあったせいか客の出入りが少なく年齢層も高かった。
どこにでもあるチェーン店ではなく
個人経営を思わせる手作り感のある店内には
窓際に2人がけのテーブル席が3つ、奥にソファー席が2つ用意されていた。
お茶をしながら、ゆっくり本を読むのには最適な場所だった。
彼はそのカフェの常連。
一番端にあるテーブル席に、窓を背にして座るのが彼の定位置。
窓から差し込む日の光に照らされた彼のシルエットがとても印象的だった。
綺麗に茶色く染められた柔らかそうな髪の毛。
鼻筋の通った端整な顔立ち。
雑誌のページをめくる長い指先。
こんなにカッコいい男性が世の中にいるものか、と思った。
就職が決まってからはあのカフェに久しく行ってない。
彼はまだ常連なのかな。
彼は、黒髪になっていた。
それでも彼だとすぐにわかった。
名前も知らなかった彼は
・・・私を覚えているはずがない。
「来た来た!こっち!!」
藤ヶ谷先輩が手を挙げて、私たちを呼ぶ。
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作者名:Pyon-co | 作成日時:2014年11月26日 23時