Milky Way 6 (ページ34)

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233 成人式の夜ページ34

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「俺はさ、血とかそんなのどうでもいいっつーか。母ちゃんのこと母親だと思ってるけど…細かい事情とか知らねぇしさ、母ちゃんがマジどう思ってんのかわかんねぇじゃん？

だからさ、翔ちゃんの母ちゃんと息子取り替えちゃいましょ、なんて全く俺に遠慮ねぇ会話してさ、ガハガハ笑ってんの見てたらさ。…俺、なんかすげぇ嬉しかったんだわ」

「そうだったの…」

「一昨日さ、必要なもん取りに帰るつって一泊で俺、帰省したじゃん？」

「うん」

「あん時にさ、実は、って。今さらよ？留学する前に言っておくとか急にドラマみてぇなこと言い出しやがってよ。笑

親父と二人で改まって話されちゃって。…しかもさ、ほんとは成人式の夜に俺に話すつもりだったんだってさ」

「……え、」

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成人式の夜、って…

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「あの日、カズ…」

「そ。Aんちに泊まってさ、俺、家に帰んなかったわけよ」

カズは笑って肩を竦める。

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「そんな…」

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カズのお母さんは、あの日カズが家に帰ってくるのを待ってたんだ。

どうやってカズに伝えよう、伝えたらカズはどんな顔をするんだろうって考えながら、ずっとカズを待ってたんだ。

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なのに、私…

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カズのお母さんの気持ちを思うと。

何も知らなかったとは言え、初めてカズと想いを通わせ合って浮かれてた、あの日の自分を戒めたくなる。

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「だーかーらー！笑

Aがそんな顔する必要なんかねぇんだって。俺がAの親の留守中に無理矢理上がり込んでさ、ヤッたようなもんなんだし」

「…ヤッたとか言わないで」

「それにさ」

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「母ちゃんはあの日俺が家に帰って来なかったことでほっとしたらしい」

「…え？」

「神様がもう話さなくていいよ、つってさ。そう言ってるように感じたんだと。だからもう言わないでおこうと思ったんだってよ」

「それならどうして今になって話す気になったの？」

「それなのよ」

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カズのおかわりのビールが運ばれてくる。

さっきから一人で喋りっぱなしのカズは、それを美味しそうに喉を鳴らして飲んだ。

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「俺を生んだ…まあ、実の母親？がさ。イギリスで建築士やってんだって」

「カズの本当のお母さんも建築士だったの？！」

「らしいわ。俺もすげぇ驚いたけど。…でさ、イギリス行ったらどうかっつーのよ。その母親のとこ行ってこいってさ、母ちゃんが」