Milky Way 6 (ページ25)

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224 レンタカーページ25

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「やっぱちょっとさみぃな」

「うん。…海の匂いがするね」

「こんだけ近ぇとさすがにな」

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カズの隣で、手を繋いで歩く。

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ホワイトデー当日の夜は、カズの突然の急用でドタキャンになった。

でも、こういうことは特に珍しいことじゃなかったから、少しがっかりしたけど納得してたのに。

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その次の週末。

カズは突然、レンタカーを借りて私を迎えに来た。

どこへ行くのか私に目的地を言わず、二時間ほど高速を走り、国道から少し横道に入る。

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しばらくすると、海を臨む小高い山に段々畑。

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絵に描いたような。

まるで絵ハガキを切り取ったような、のどかな田園風景が目の前に広がった。

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「…足、大丈夫か？」

「うん。大丈夫」

カズの問いかけに私が答えると、カズはフッと微笑む。

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今日はカズにヒールのない靴を履くように言われて、フラットなバレエシューズを履いてきた。

最近買ったばかりの、カジュアルなネイビー。

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控えめに小さなスタッズがついてて、お店でこれを見た時、なんだかちょっと夜空の星みたいじゃない？なんて思って。

この間雅紀クンに言われた織姫だとかなんとかを意識しちゃって、一目惚れして買った靴。

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「んー、もうそろそろだと思うんだけどなぁ」

カズはそう呟いて、なだらかに山の上へと続く道のカーブに顔を向ける。

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「…ねぇ」

「あ？」

「何があるの？」

「だからそれは見てのお楽しみだって。笑」

「えー」

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口を尖らせてみせたけど、ほんとは嬉しくて楽しくてしょうがない。

思わずスキップしたくなるような心が跳ねるような気持ちを一生懸命抑えて、カズの手をギュッと強く握った。

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「キャ！」

足元の石につまづいて、思わず転びそうになった。

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「オイオイ。笑」

カズはそんな浮かれた私が躓くことなんて、ワカッテマシタと言わんばかりに。

とっさに握った手を私の二の腕に滑らせ、そこを掴んで私を支える。

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「…ありがと。笑」

「ドウイタシマシテ。笑」

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人の気配を感じて、私がその方向に目を向けると。

横道に、道沿いに咲いている菜の花の写真を屈んで撮っている、首からカメラを提げた中年の男性が一人。

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その人が、私達を見て少し微笑んだような気がした。