Milky Way 6 (ページ19)

今日:17 hit、昨日:4 hit、合計:459,541 hit

218 アイノカタチ＊K＊ページ19

・

・

翔ちゃんの、あの揺らぐことのない自信は一体どこからくるんだろう。

・

あの頃から翔ちゃんはそうだったのよ。

いつだって余裕のある顔して笑ってて、俺が何をどんなに頑張ったとしても勝てっこねぇやって思ってた。

男の俺から見ても嫌味なくらい完璧なオトコだった。

・

そんな翔ちゃんが本気でまたAを求めるなら…Aはどうすんだろう。

もちろん俺にだってAに惚れられてるという自負はある。

Aと付き合ったこの一年の間には、ナツキとの過去のことで傷付けたこともあったし。

今だってまだ完全にわだかまりが消えたわけじゃねぇんだろうけど。

・

でも、俺たちには俺たちなりの…その、…なんつーの？

アイノカタチ？、…みてぇなもんが、ある。

・

Aは翔ちゃんのことも大事に想ってる。

もちろんそれはもう過去のこととして捉えてるだろうし、静かな想いではあるんだろうけど。

・

この先俺がAのそばにいられなくなった時。

ただでさえ距離っつーハンデが生まれんのに、そこに翔ちゃんが帰ってきたら。

・

そしたらAは、俺じゃなくて翔ちゃんがよくなったりしねぇかな。

・

だから、俺は意図的に。

俺とAの今を見せつけるように、先手を打つつもりで翔ちゃんをここへ呼んだのに。

翔ちゃんは全く臆する事なく、それどころか逆に俺に打撃を食らわせた。

・

チューくらい挨拶じゃねぇかよって笑って言えたらかっけぇんだろうな。

・

Aはどんな風に翔ちゃんのキスを受けたんだろう。

キスしたことで、昔の、翔ちゃんに惚れてた時の気持ちが蘇ったりとかしてねぇかな。

・

実際の俺は、そんな情けねぇことばっか考えてたのよ。

・

・

「…私に、隙があったのかもしれない。公園で、翔クンに会ってね」

「…うん」

「…キス、されて、」

「……」

「好きって」

「……」

・

・

「…カズに誤解されたくないし、言わない方がいいのかもって思ったけど、私のこと信じてもらえなくなるのは嫌だから」

「うん、Aから聞けて…なんか正直ほっとしたわ」

「私のこと、嫌いにならないで」

「バカか。なるかよ。笑」

「…お願い、カズ」

「ナニ？」

・

・

「…ギュッて、して」

・

Aは俺の胸の中から顔を上げると、目に安堵の光を浮かべてそう俺に乞うた。