Milky Way 6 (ページ17)

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216 不利＊S＊ページ17

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やっぱりここに来るべきじゃなかった。

ニノのペースに嵌ってしまう。

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ここじゃなければ躊躇無く自分の気持ちを出せた気がするけど。

このAの部屋には俺の知らないAとニノとの時間が流れているんだから、どうしたってそれを意識せずにはいられない。

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ハンガーラックに掛けられた、ニノの物らしき何着かの男物のパーカーやシャツ。

そして何よりこの不自然過ぎる完璧なベッドメークが逆に、ついさっきまでニノがAをここで抱いてましたと言わんばかりじゃないか。

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ニノは俺の動揺を誘った上で、釘を刺そうとしている。

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まさかニノが、俺とAが偶然公園で会うことまで見越していたわけはないだろうけど。

俺は、Aの首筋につけられた、俺への当て付けとも挑発とも受け取れるあからさまなキスマークを思い浮かべた。

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「…やっとだよ」

ニノが滾る感情を抑えるように喉から低い声を絞り出す。

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「やっと、俺だけを見てくれるようになったんだ。…もうさ、今のAは翔ちゃんの知ってるAじゃねぇのよ？」

「……」

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…そもそも俺だって、Aを手放したくて手放したわけじゃない。

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恋愛にはタイミングってものがあって。

たまたまあの頃の俺達はあまりにも幼くて、運命の歯車ってヤツなのかな、それが上手く噛み合わなかっただけなんだ。

そして今三年の月日を経て、ようやく次のタイミングってヤツがまわってきた。

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それだけのことなんだよ、ニノ。

俺、ニノのことは大切な友達だと思ってるけど、でもあの頃からニノが羨ましくてしょうがなかった。

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俺は先に次のステージに上がらせてもらうよ。

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「俺、今そこの公園でAと会ったよ。…だからここに来るの遅れたんだ」

「え？」

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でも、だからといって姑息な真似はしない。

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キスはちょっとフライングだったけど。

俺、正々堂々と真正面からぶつかるから。

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「俺、さっきAにキスした。好きだって伝えた。時間がなくてそれ以上の話はしてないけど、でも俺、夏に帰国したらAに本気出すつもりだから」

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目を見開いたニノは何か言おうとしたのか唇を少し開いたけど、声にはならなくて。

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俺はそれに気付かないフリをして、コーヒーに口をつけた。