淡い恋のはずだった

とお ページ10

『まじかぁ…』


ネコさんとあの元カノが会っているところに遭遇してしまった



今日も来てるんだあの人


しかも、こんなところに。


ここはファンの人が入ってこられないような場所だ


気づかれたら面倒くさそうだと思って


足早に立ち去ろうとしたのに、






『え…？』



キス…してる？


なんで？元カノなんでしょ？何にもないんでしょ？


頭が追いつかない





『…っ涙出てくるな……』








金子「A？」




なんで気づくの、


早く逃げないと





金子「あっおい待てって」





もういやだ


ネコさんに対する気持ちが恋だってわかった瞬間


こんなとこ見ちゃうなんて



こんなことならずっと恋だなんて知らない方がよかった






金子「っはぁ、捕まえた」




あんなに全力で走ったのに、


あっさり、私の左手はネコさんの右手に掴まれた





『はな、してください…！』



金子「なんで逃げるん？」




『別に逃げてません』



金子「逃げてるやん」



『私のことなんてどうでもいいですから、早く戻ったらどうですかっ…！』




涙が溢れる


泣いちゃダメってわかっていても。






金子「どうでもよくないやろ
そんな泣いて」



『お似合いだと思いますよ』



金子「は？」



『いいじゃないですか、美人でスタイル良くて』



金子「何言うて…」




『早くより戻したらどうですか』




金子「それ、本気で言ってるん？」









こんなこと、言ってはいけなかった


なんで言ってしまったんだろう


なんて考えても、もう遅い






金子「俺が誰と付き合うかは俺が決めることやろ
Aが決めることやない」




『……』



金子「さっきから逃げようとして、俺と話したないならもうええよ」



『ちがっ、ネコさ…』



金子「俺もう行くな」









怒らせたかったわけじゃない


ただ悔しくて、悲しくて


言ってしまった一言





こんなんじゃ振り向かせるどころか

離れていっちゃってるよ

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