【呪術廻戦】先生、恋して。【夏油傑】

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Aは頭が冴えない状態で自身の席に着いていた。

何故なら、あの動画を観てから恐怖で全く眠りに就く事が出来なかったからである。

思い出しただけで、心臓が嫌な位に波打っているのが解る。

スマートフォンはバッグの中に入っているものの、今日は電源を落として見ないつもりだ。





『…はぁ…。』





メールの事を五条に相談しようとしていたAだが、生憎彼は昨日から出張で不在なのである。

返信出来ないと思う、と出張前日に話をした事を思い出し、Aはあの様な事があっても連絡は一切しなかった。





『…。』





五条が帰ってくるのは明日だ。

それまでは堪えて待つしかない。

Aは時計を眺めながら呆けた顔をしていると、急に友人から声を掛けられた。





「A、何、ぼーっとしてるの？」

『…ん、昨日から寝てなくて…。』

「オール？どうせ、スマホ見て夜更かししたんでしょ。」

『…まぁ、そんな所かな…。』





実際はそんな理由では無いが、あの動画の事を話す訳にはいかない。

内容があれでは友人であっても、とても言えなかった。





「てか、次清掃だから行こ、そして場所も変わるってさ。」

『…あー、そっか、次の場所どこだろうね。』





何気無く見ていた時計は、確かに清掃時間に近付いていた。

Aは椅子から腰を上げると、教室の入口に貼ってある清掃場所の確認をしに友人と向かった。





「んーと…。」

『…。』





教室。

廊下。

ホール。

昇降口。

自身の班は何処だろうか。

用紙を指でなぞりながら、下へ滑らせて行く。

するとAが見付けるよりも先に、友人が見付けた様だ。





「え…、今月トイレじゃん！やなんだけどー。」

『…まぁ、前より近くなったから…ね？行こう？』





トイレ掃除が嫌だと駄々を捏ねる友人を諭す様にしていると、タイミング良く清掃中に流れる音楽が校内に響いた。

まるで掃除に行け、と急かされている様に思える。





「はぁー…行くかー。」

『うん、行こう。』





Aは教室を出ると、欠伸をしながら階段を下りて女子トイレへ向かうのだった。

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