第51話 ページ4
｢……へくしゅっ｣
手入れ部屋に私のくしゃみの音が響いた。
思わず手入れをしていた手を止めて、身体を震わせる。
……寒い。
｢冷えますね。何か防寒具をお持ちします｣
｢はいっ！？そんなパシリのような真似をさせる訳には……｣
｢主殿は手が離せないでしょう？｣
｢す、少しくらい寒くても、大丈夫なので｣
｢風邪、引きやすいんでしょう｣
｢……この手入れ終わったらどうせまた3日くらい寝込むから、今更変わんないです……｣
勢いで反論したとはいえ反論の仕方が幼稚……
というかこれただの駄々じゃん恥ずかしっ…………
｢なら尚のこと、寒がっているまま放置する訳にはいきませぬな｣
｢うっ……｣
｢お身体を大切にしてください、主殿｣
｢……はい｣
私が返事をすると、一期一振さんは防寒具を探しに部屋を出ていった。
｢…………はぁ｣
｢主様はどうしてそんなに人に手伝ってもらうのを嫌がるのです？
寧ろ拒否しすぎみたいなところありますけど｣
｢失礼だなぁ……｣
まぁ確かに事実……なのかも。
｢……妹がいるの｣
｢妹？｣
｢うん。
私と顔がほとんど一緒の、なんでも出来ちゃう優秀な双子の妹。
……霊力の量は、私の方が多かったみたいだけど｣
｢双子！？｣
｢うん、双子。
入院してた時、妹だけは毎日お見舞い来てくれてね。
着替えとか、私が退屈しないようにって色んなもの届けてくれたりして。
だから私、妹に甘えてたの。
『迷惑なんかじゃないから謝るな』って、言ってくれたから。……だけど｣
｢だけど？｣
｢……嫌われちゃったの｣
｢……え？｣
｢ある日突然、｢お姉ちゃん、どうして迷惑しかかけないの？｣って。
……それまで、私の事お姉ちゃんなんて呼んだことなかったのに｣
｢……｣
｢そこから、私は迷惑絶対かけないようにしようって。
でもね、無理だった、すぐ倒れるから。
周りの普通に合わせられなくて……最終的に諦めた。
その結果、何かやろうかって言われると拒否するようになって、謝り癖ばっかついて。
…………善意で声掛けて貰ってることは、わかってるの。……ごめんね｣
こんなの言い訳。全部自分のせいなのに。
……こんなんだから、嫌われるんだ。
｢……主様｣
｢ん？｣
｢馬鹿ですかぁああぁあああ！？｣
｢えっちょ、手入れ中の皆さん起きちゃう……！｣
｢身体弱い人が、人の力借りなくてどうするんですか！！！ばーか！！！！！！！｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 730人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らび(プロフ) - やよさん» ありがとうございます〜！！近日中に更新予定なので待っててください〜！！！ (2022年1月12日 18時) (
レス) id: ca517f1ee4 (このIDを非表示/違反報告)
やよ - 更新待ってます！！！！めちゃめちゃ面白いです！！！！ (2022年1月8日 19時) (レス) id: f3622d769a (このIDを非表示/違反報告)
花梨(プロフ) - 雪見大福さん» ありがとうございます！自分のペースでのんびり頑張ります！ (2021年7月15日 15時) (レス) id: ca517f1ee4 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください！ (2021年7月11日 19時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
花梨(プロフ) - Ayu_3さん» ありがとうございます………可愛いと思っていただけてるならとても嬉しいです………！！ (2021年2月7日 23時) (レス) id: ca517f1ee4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らび | 作者ホームページ：
作成日時：2020年12月25日 23時
