神子柴君と安楽椅子

神子柴君と坂本有希 ページ2

坂本有希(さかもとゆうき)は驚いた。

いつもの倍近く酷い隈とボッサボサの髪で其奴は現れた。

しかもちょっと違和感がある。


「た、龍巳…？大丈夫？」

「あん？」


しかも機嫌が悪そうだ。


「…何だ有希か、悪い眼鏡忘れて前が全然見えねぇんだ。」


有希が感じた違和感は眼鏡だった。

いつもは其処にあるはずの黒縁の眼鏡は影も無い。


「お前、大丈夫なのか…？」

「寝てりゃ目使う事も無いだろ。」

「そこじゃなくて！」


神子柴はは？と言いたそうに目を細めている、睨まれている様に目つきが悪い、

その上隈もあるし見た目はほぼ徹夜したヤンキーだ。


「さっきからフラフラだよ…絶対徹夜したでしょ？」

「シナリオ…書いてて…」


やっぱり、と有希は呆れた。

こんなにフラフラしていては今日倒れるなと思った。

そんな心配をよそに神子柴はぶつぶつと何か言っていた。


「あっ、有希。」

「何？」

「理科のプリント見せて。」


またか…と有希はスクールバックを漁った。

一枚のプリントを手渡すと神子柴は其れを見て一言呟いた。


「意味わかんねぇ…」


神子柴の頭を？が埋め尽くした。

理解するのを止めて暗記しようと思い風紀委員を横目で流した。


「おはようございます！」


明るい挨拶が神子柴の頭をガンガンと殴りつける。

眩しい笑顔が突き刺さる様に痛い。

頭痛が酷くなってきた。


「龍巳、今日本当に大丈夫なの？」

「大丈夫、倒れたらよろしく。」


有希はまた呆れた。

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