悟られる怯え ページ3
そこからどうなったんだか、全く記憶がない。ただ気が付けばベッドに横たわって寝ていた。起き上がって漸く自分に宛がわれた部屋でないことに気が付く。
「ようやっと起きたか、お寝坊さん」
少女は身を震わせた。先ほど散々嫌な目に遭わされたので、その声の方を振り向くのが怖い。恐る恐る首を動かして、自分が寝ていた場所を見る。自分が寝転んでいたおかげでできたシーツのしわがまず目に入り、続いて手を枕代わりに寝転がっているスカラマシュが視界に映った。
不機嫌なんだかご機嫌なんだか、彼はいつもの薄ら笑いでこちらを見ている。ガタガタと身体の震えが大きくなる彼女ににっこりと笑みを深くしながら、彼は身体を起こした。
「も……っ、申し訳、ございません」
「はは、何がぁ?きみが泣きすぎて倒れた挙句、この僕にここまで運ばせたことなんて、全然気にしていないよ」
それを四角四面そのまま受け取ることができたらどんなに気が楽だろう。眩暈を感じながらAはもう一度小さく謝罪を口にした。
「それにしても、やけに震えているな?」
少年が身を寄せてくる。後ずさろうとするAの腕をがしりと掴んでスカラマシュがにこりと笑った。
「寒いのかい?この部屋は暖かいはずだけど、随分と寒がりなんだね」
「い……いえ、寒くは……」
「そう。じゃあ僕が怖いのかな」
ぎくりとAが身体を強張らせる。わかりやすく肯定の反応を見せた彼女に、スカラマシュはゆっくり目を細めた。
「へえ、怖いんだ。」
「……申し訳、」
「おまえ、それ以外の言葉が吐けないほど木偶なの?」
「……」
また彼女が俯く。暫しの沈黙の後、スカラマシュはああ!と納得のいったように声を上げて手を打った。
「そういえば発言の許可をしていなかったね。もしかしてそのせいかな?自由に話してくれていいよ」
「……ありがとうございます」
「うん、やっぱりそうだ、単語が増えた。」
けらけらと笑うスカラマシュに対して、Aの顔色はますます悪くなっていく。自由に発言していいと言われたって、実際好き勝手に発言しようものならお仕置きされるのは噂を聞いていれば誰でもわかることだ。
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さてら(プロフ) - スカラマシュの無理矢理感がどちゃ好みです、!!!続きお待ちしておりますね!! (2022年7月15日 7時) (レス) @page6 id: 2f7de286bf (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 夏葵さん» ありがとうございます〜!!!少しずつ書いていくつもりなので、ゆっくりお待ちいただけると幸いです! (2022年4月18日 1時) (レス) id: 926aff9fe8 (このIDを非表示/違反報告)
夏葵(プロフ) - まだ少ししか話数ないですが、とても続きが気になるくらいドキドキしながら読んでいました!続き楽しみに待ってます〜! (2022年4月16日 2時) (レス) @page4 id: 8ae4d54864 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかん | 作成日時:2022年3月23日 14時