弱みを握られる ページ2
Aは肩を跳ねさせ、動揺を押し殺すことができずにばっと顔を上げてどうにか誤魔化そうと口を開いた。
「ッ長官、私は、私はただ！」
「言い訳を聞くと言った覚えはない。僕が聞いたことだけに答えろ。僕が好きなのか、そうじゃないのか。」
「……お……お慕い、して、おります……」
「へえ！そうなんだ。それは良いことを聞いたなぁ。」
無理やり淡い恋心を引きずり出された少女は、最早泣きそうな顔になりながら再び俯く。スカラマシュは面白そうにゆっくりとAの背後に回った。彼が動くのに合わせて鳴る鈴の音を聞きながら、判決を待つ罪人のようにAはじっとその場に立ち竦んでいる。
するりと首元にすべらかな指先が這い、少女は心臓が口から飛び出すのではないかと思うほどに驚いた。ぎゅうと締められるのではなかろうかと強張る体を笑うように、彼の手は少女の身体に巻き付く。それがあんまり女性的な柔らかさを伴っているものだから、今自分を抱きしめているのが果たして彼なのかどうかすらわからなくなって混乱を覚えた。
「おまえ、僕の役に立ってごらんよ。そうしたらおまえの望むように愛してやってもいい。」
は、と、返事の代わりに呼吸が零れる。うまく空気を飲めなくなったAの首を無理やり捻り、美しい少年は唇を重ねた。ぬるりと唇の皮膚を柔らかい何かが伝って少女は肩を震わせる。ちゅ、と下唇を吸い、スカラマシュは少女から顔を離した。
「先行投資だ。ほら、泣いて喜んでみなよ、見ててあげるからさ。……ああ、それとも、こういうのは好みじゃなかった？きみは僕にどんな虚像を持っていたのかな、教えてくれるかい？」
Aは暫く火照った頬とは裏腹に血が通わず固まった思考のまま立ち尽くしていたが、やがて状況を理解してぼろりと涙を零し始める。おお、と面白そうにスカラマシュが声を上げるのを聞きながら、少女はその場にうずくまって泣き始めた。
目の前で自分を観察している彼の言ったように、泣くほど喜んだわけではない。少女は悲しんでいたし、怒っていた。大事に抱えていた儚い想いを、他の誰でもない彼に踏みつけられてしまったのだから、無理もない。
でも今更それを捨てることもできなくて、惨めったらしくそれを拾って抱えて身を丸めることしかできなかった。
スカラマシュの好奇心に満ちた視線が突き刺さる。少女はもう逃げられない。
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さてら(プロフ) - スカラマシュの無理矢理感がどちゃ好みです、!!!続きお待ちしておりますね!! (2022年7月15日 7時) (
レス) @page6 id: 2f7de286bf (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 夏葵さん» ありがとうございます〜！！！少しずつ書いていくつもりなので、ゆっくりお待ちいただけると幸いです！ (2022年4月18日 1時) (レス) id: 926aff9fe8 (このIDを非表示/違反報告)
夏葵(プロフ) - まだ少ししか話数ないですが、とても続きが気になるくらいドキドキしながら読んでいました！続き楽しみに待ってます〜！ (2022年4月16日 2時) (レス) @page4 id: 8ae4d54864 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかん | 作成日時：2022年3月23日 14時
