二日目 ページ37
Aが倒れて二日目
Ht「やぁA。今日、君に花を持ってきたんだ。綺麗でしょ。」
俺は静かに歩み寄り、近くにあった花瓶に花を生けると、椅子に座る。未だAは眠ったままだった。
Ht「さっきね、使い魔たちの小屋に行ってきたんだけど、みんな寂しそうに鳴いているよ。君は毎日小屋に来ていたから、一日と言えど来なくなったのに何か感じ取っているのかな。」
先程いつも通り使い魔たちの世話に行くと、何故かみんなきゅうきゅうと鳴いて、悲しそうな目をしていた。外道丸でさえも、俺に擦り寄り尋ねるように目を向ける。〖Aはなぜ来ないの？〗と。
Ht「やっぱり俺たちの使い魔だからかな。俺たちが沈んだ気持ちでいるとそれに同調しちゃうんだ。何があったのか知らないにせよ、寂しそうだった。…ねぇ、A。俺も、早く君とまた話したいよ…あの小屋で見せる君の癒された笑顔が見れないのは、嫌なんだ。君が起きるまで…待ってるからね。」
軍帽を外し、俯きながら眠り続けるAの髪をさらりと撫でる。その横で、紫のアネモネが外からのすきま風でかすかに揺れた。
紫のアネモネ
〖あなたを信じて待つ。〗
………
Ut「…よっ、起きてるか？」
軽い調子で言ってみるが、ベッドの上から返事はない。
Ut「なんやまだ寝とるん？…まぁ、はよ起きろとは言わんけど、そろそろ俺君の温もりがほしいなぁ…なんて。」
おどけたように言うのは俺の特徴だが、こんな時に雰囲気が変わるわけでもなく、ただただ沈黙が広がる。
Ut「君が倒れてからシッマも静かだしゾムも黙って飯食うとるよ。前の騒々しい内ゲバなんて元から無かったみたいに…静かや。時々シャオロンがテンション上げようとしてくれてるけど、空ぶっていたたまれないわ。」
いつも聞こえてた涼やかなAの声が混じってなくて。俺は手元にあるタバコの箱をぐしゃりと握りつぶした。
Ut「あぁほんまに…お寝坊さんやなぁ…え？A。たった2日。たった2日なのに。苦しいんや…俺は君が叱りに来るんじゃないかと、わざと書類やらんかったりタバコの量増やしたり…でもお前は気づいてくれん…寝てるからな。なぁ、はよ起きて、俺と一緒に…」
正直泣いてしまいたい。けれど、その途端にAが起きるんじゃないか。それでからかわれるのではないかという淡い希望を抱いていて、泣きはしなかった。俺は、しばらくAの寝ているベッドで寝顔を眺めていた。
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まつり(プロフ) - 完結おめでとうございます！！いや、もう、ほんとにノアさんの物語の完結させ方が大好きすぎます！やばい！好き！（語彙力）夢主ちゃんもドタイプですし、最高です！お疲れ様でした、ありがとうございました！ (2020年10月14日 20時) (
レス) id: 83f48e582b (このIDを非表示/違反報告)
漣@音ゲー民(プロフ) - 完結おめでとうございます！初期から楽しく見させていただき、日々更新を楽しみにしていた癒しの作品が完結となると…寂しくなりますね（笑）何はともあれ大好きなハピエンで嬉しいです。素敵な作品ありがとうございました！！！！ (2020年10月14日 16時) (レス) id: 2c758a340b (このIDを非表示/違反報告)
ふわ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！連載当初から興味を持ちどんな展開になるのだろうと思いながら読まさせて頂きました！素敵な作品を書いてくださりありがとうございます！！ (2020年10月14日 1時) (レス) id: 811a4cfa4f (このIDを非表示/違反報告)
真由(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初から最後までとても楽しく読まさせて頂きました！ハラハラする場面も多くドキドキしましたがハッピーエンドで終わって良かったです！長い間お疲れ様でした！ (2020年10月13日 23時) (レス) id: 045f50c8f8 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - Ｒさん» ありがとうございます！寂しい…ですか？そう言っていただけるとは嬉しいです！ぜひぜひ何度も読み返しちゃってくださいね！ (2020年10月13日 21時) (レス) id: c0349a147b (このIDを非表示/違反報告)
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