ゞ ページ19
『…ゾム、ダメ。』
Zm「…わぁったよ。」
不機嫌そうにゾムはそう返すと、お兄さんを持ち上げて、近場のプールに投げ捨てた。盛大な音を立てて水の中に落下する。それをゾムは見もせずに俺に近寄ると、血が出た所をぺろりと舐めとった。
Zm「…あっま。」
そう吐き捨てるように言うと、ゾムは俺の首筋に吸い付いた。
『んっ…なに？』
Zm「お前、プールやからって浮かれすぎや。短剣更衣室に置いてくるのは流石にあかんやろ。」
『ありゃ、分かってたの？』
Zm「当たり前やろ。ったく…お前は特別なんやから。やっぱこうやって俺らのシルシ付けんとすーぐ他の奴ら寄ってくるわ。」
先程付けたキスマークを撫でながら、ゾムは少しため息をついた。
『…ごめんね。ありがとう。』
Zm「ん、ええんやで。はぁ〜…Aは人間じゃなくても可愛いんやから、もっと危機感持ってや。ましてや水着やのに…」
『貸切だから油断してたんだ。』
Zm「従業員も考慮に入れとけ。なんなら帰りに支障が出るくらいもっと跡つけてもええんやけど？」
『ヤメテ。』
露骨に否定すれば、何故かゾムは心底残念そうな顔をする。いや、ほんとにやめてね？噛まれるのって意外と痛いんだから。跡つけて帰るのも嫌だし、あとからみんなに言及されんのもなぁ…すると、
Zm「…お前、前より胸でかなった？」
『ひにゃっ！？うわぁぁぁっ！！』
Zm「へぶっ！！」
もにゅんといきなり鷲掴みにされたものだから、俺は勢い余って平手打ちをかますとブレスレットを拾ってダッシュで更衣室へ飛び込んだ。
『あ、あいつっ…！』
めっっちゃびっくりした！！！いきなり過ぎてセクハラ案件だわ！！！いや別にあいつがエ○小僧なのは知ってるけども！！心の中でそう叫びながら、テキパキと水着から服に着替える。その時、ちらりと自分の胸を見下ろした。
『…太ったからかな。』
そう考えてちょっとショック受けた。
………
着替えを済ませて外に出ると、そこには既にみんなが待っていた。
『ごめん！遅くなった！』
Ut「いや大丈夫やで。それより、ゾム何かしたん？あいつが突然どっか行ったと思ったらほっぺたに紅葉咲かして帰ってきたからみんなで大爆笑やったんやけど。」
大先生が思い出したように笑いを堪えながらそういって俺は苦笑を返した。帰る途中、なんだか冷えた風が感じられて、俺は空を見上げる。そして横でエミさんがぽつりと呟いた。
Em「…珍しく、ひと雨来そうですね。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 396人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まつり(プロフ) - 完結おめでとうございます！！いや、もう、ほんとにノアさんの物語の完結させ方が大好きすぎます！やばい！好き！（語彙力）夢主ちゃんもドタイプですし、最高です！お疲れ様でした、ありがとうございました！ (2020年10月14日 20時) (
レス) id: 83f48e582b (このIDを非表示/違反報告)
漣@音ゲー民(プロフ) - 完結おめでとうございます！初期から楽しく見させていただき、日々更新を楽しみにしていた癒しの作品が完結となると…寂しくなりますね（笑）何はともあれ大好きなハピエンで嬉しいです。素敵な作品ありがとうございました！！！！ (2020年10月14日 16時) (レス) id: 2c758a340b (このIDを非表示/違反報告)
ふわ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！連載当初から興味を持ちどんな展開になるのだろうと思いながら読まさせて頂きました！素敵な作品を書いてくださりありがとうございます！！ (2020年10月14日 1時) (レス) id: 811a4cfa4f (このIDを非表示/違反報告)
真由(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初から最後までとても楽しく読まさせて頂きました！ハラハラする場面も多くドキドキしましたがハッピーエンドで終わって良かったです！長い間お疲れ様でした！ (2020年10月13日 23時) (レス) id: 045f50c8f8 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - Ｒさん» ありがとうございます！寂しい…ですか？そう言っていただけるとは嬉しいです！ぜひぜひ何度も読み返しちゃってくださいね！ (2020年10月13日 21時) (レス) id: c0349a147b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
