結晶が十七つ ページ19
Gr side
あの子を迎えて2度目の朝が来た。今日は俺が呼びに行こうとAの部屋のドアを叩く。
Gr「A、入っても平気か？」
しかし何故か返事が遅く、俺は取っ手に手をかけるとあっさりと開いた。入ってみると、ベッドの上にシーツを深く被って尻尾ははみ出してる状態で饅頭となっているAがいた。…なんか可愛いな。俺はそれにゆっくりと近づき、縁に腰掛ける。
Gr「おはようA。起きてるか？」
その答えなのかゆらゆらと尻尾を揺らしてくれた。どうやら起きてはいるらしい。
Gr「まだ眠いなら寝てていい。みんなにもAの食事は残しておくように言っておくから。」
そう言って立ち上がろうとすると、しゅるりと尻尾が俺の手に巻かれてそれを拒んだ。硬質な結晶が直に感じられる。そしてどうしたのかと思っていたら、Aは頭を出した。
Gr「お前…泣いたのか？」
その顔は微かに泣いたあとがあり、俺は何かあったのかと驚く。
『…少し、昔の夢を見ただけです。』
Gr「施設にいた頃のか。」
『はい…私は今こんなに良くしてもらってますけど…あの施設に残った他の人外の人達は今も実験めいたことをされてるのかなって…そう考えてたら…悲しくて…私だけこんなでいいのかなって…』
どうやらあの施設に残された他の人外を気にかけているらしい。そういえば俺たちが居なければこの子はもっと酷いところに連れてかれていた。生きた宝石として、一生檻の中というのも無くはなかった。そしてそれはこれからその施設から売りに出される人外たちも同様で、腐った富豪共の餌となるのだ。
『あの施設には私が仲良かった子もいます。でもその子たちが私みたいに縁があるとは限らないんですよ…』
また泣きそうになりながら悲しそうに言うAを、俺はそっとその頬を撫でた。
Gr「…案ずるな。もうその負のループを繰り返さないために、俺たちはもう動いている。」
『え…』
Gr「今あの施設を探すために尽力している。いつか絶対にあの施設を潰すために。いつになるかは俺にも分からん。でも出来るだけ早く見つけるから。だからせめて、ここでは笑っていてくれ。」
俺はAの初めて見せてくれた笑顔が忘れられない。優しくて、どこかまだ幼さのある笑顔を。するとAは俺の手に自分の手をそっと重ねて、
『…ありがとう、ございます。嬉しいです。』
そう言って柔らかく笑ったAの笑顔にまたしても撃ち抜かれたのは言うまでもない。
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すみれいん(プロフ) - きゅるきゅる、ウルル…ここめちゃくちゃ好きです。 (2020年12月8日 23時) (
レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
×(プロフ) - こんなに面白い作品が読めてうれしいです！応援してますヽ(^o^)丿 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 2c8e323fdc (このIDを非表示/違反報告)
(´ー｀*)ｳﾝｳﾝ - 好きです。(唐突)頑張ってください。 (2020年11月25日 14時) (レス) id: 79aefbbb5a (このIDを非表示/違反報告)
ラリー - 面白いんじゃあ...続きが気になって死んでまう...(訳:この作品とても好みで面白いです!更新頑張って下さい!) (2020年11月24日 22時) (レス) id: 4e3832928c (このIDを非表示/違反報告)
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