結晶が四十つ ページ42
あのオスマンさんの言葉に少し不思議に思ったが、安易に突っ込んだりはせずにその日は楽しく話して終わった。後日、私はあることを考えていた。
『…私が身を守る方法って…なんだろ。』
先日の襲われた件で、私は何も出来なかった。薬を撃たれたせいでもあるが、それでも自分の無力さは嫌でも痛感できたのだ。だから…
『…ゾムさん。』
Zm「あれ、Aやないの。どしたん?」
『私に、戦い方を教えてください。』
Zm「んえ?」
ゾムさんは私の言ったことに少しぽかんとすると、スっと表情を変えた。
Zm「一応聞くけど…なんで?」
『私は、無力です。力はあれど、その振るい方を知らないんです。私には万力の握力も結晶を操る力も持ってはいますが、それを自衛で使う使い方を知りません。だから、どんな風に自衛すべきか、教えてもらえませんか?』
少しでも迷惑をかけないように。私は強くなりたかった。
Zm「なるほどなぁ…ええよ。教えたる。」
『ありがとうございます。』
Zm「まずは座れ。話そうや。」
私が来た小さな運動部屋の、近くにあった椅子に促されて、私は素直に座る。
Zm「…まず、万力の握力って言ってたけど実際どのくらい強いん?」
『えっと…鉄パイプをひしゃげたことあります。』
Zm「えぐっ!なんでそれで襲われたところを逃げて…あぁ、薬撃たれたんやったっけ。ならしょうがないか。じゃあ結晶の使い方、知っとるのだと?」
『…結晶を生み出し思う通りに細工することと、大きな結晶を目の前に配置して守る…とかですかね。』
試しに手のひらから結晶を生み出すとゾムさんが普段使っているナイフそっくりに加工して見せた。
Zm「はえー…綺麗やな。ちょっと貸してそれ。」
『どうぞ。』
私が作ったナイフを手渡すと、ゾムさんはそれをビッと投げて割と遠くにあった缶を貫いた。
Zm「なるほど…鋭さも抜群。武器として使えるやろな。その気になれば人を殺せる力や。」
『ころ、す…』
Zm「でも見た感じそんな事…いや、人を傷つけるのでさえ考えた事なさそうやな。となれば…うん、やっぱりお前は結晶で守ることに徹するのが最適やろ。お前の結晶なら銃弾も火炎も防げる。最強の盾や。俺たちのことも守れるし。」
ニッと笑ってゾムさんは続ける。
Zm「ま、お前の性分やと戦うのは合わん。無理に人を殺すなんて重いこと背負わんでええよ。」
『…はい。』
ならば、私は守る技術を磨こう。自分も、皆さんも守れるように。
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すみれいん(プロフ) - きゅるきゅる、ウルル…ここめちゃくちゃ好きです。 (2020年12月8日 23時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
×(プロフ) - こんなに面白い作品が読めてうれしいです!応援してますヽ(^o^)丿 (2020年11月29日 12時) (レス) id: 2c8e323fdc (このIDを非表示/違反報告)
(´ー`*)ウンウン - 好きです。(唐突)頑張ってください。 (2020年11月25日 14時) (レス) id: 79aefbbb5a (このIDを非表示/違反報告)
ラリー - 面白いんじゃあ...続きが気になって死んでまう...(訳:この作品とても好みで面白いです!更新頑張って下さい!) (2020年11月24日 22時) (レス) id: 4e3832928c (このIDを非表示/違反報告)
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