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人間というのは実に興味深い。

「君の所有物への独占欲の無さには
ほとほと呆れかえるものがあるね」

「ルシファー、そのマジックみたいなの
やめてくださいって言ってるじゃないですか」

Aは瞬きをパシパシと繰り返し、まだ少し
ぼーっとする頭を無理矢理覚醒させる。

「おかげで素直じゃないAの本当の願いがわかった」

抗議の声をするりとかわしながら
ルシファーは先程から好奇心が
存分にくすぐられているのを感じる。

Aに近づき手の中にある箱をそっと取る。

「シェア精神は大事だ。
でもこれは、君と僕だけで分け合おう。
ペントハウスで預かるからいつでもおいで。
できることなら毎日がいいな」

小首を傾げ、あざとく迫る。

彼の強すぎる色気にあてられて
くらりとするのが嫌でもわかった。

「無くなるまで何日かかろうが僕は気にしない。僕にとって君はとても興味深い。それに僕に関しての誤解も解かなきゃ。じっくり、ゆっくり、確実にね。ふふ、とても楽しみだ…」

一瞬ギラリと輝いたルシファーの目を
Aは見逃さなかった。

「じゃあ僕はこれで失礼、また後で」

反論の隙を与える間もなく
ルシファーはLUXへと足を進めた。

嵐が去っていったかのように
一人ぽつんと残されたA。

心なしか頬が熱い。大変なことになったかもしれない。咳払いをしながらペタペタと頬を触り何とか落ち着きを取り戻す努力をする。

そんなAが
いつのまにか過ぎていた休憩時間の終わりを
ピアース直々の静かな怒りの電話によって知らされるのはまた別の話。






.

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作者名:若松 | 作成日時:2021年9月28日 14時

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