愛ほど歪んだ呪いはない。 ページ23
自宅兼店に入るとカウンターで姉貴が寝ていた。
風呂は…入ってのかな…
俺の帰り待ってたのかもな…
『……遅くなってごめんね姉貴』
姉貴を二階の部屋に運び毛布をかけ、
作り置きしてくれたチャーハンを食べシャワーを浴びてふと、時計を見ると4時だった。
『……これから…寝るのもなぁ…』
まあ、布団入って少しだけでも寝よう…
夢を見た。
「ま、つ…ば」
「やだ…やだよ…!!
ねえ、ヤダ!!」
大切で
大好きで
1つ上の幼馴染で
俺の初恋の人が
俺を庇って死んだ夢。
俺の全てだった人
世界で一番愛してた人。
サイレンの音が酷く俺の耳に響く。
誰かが通報したのだろう。
「け、が…してなく…て、よか…た」
「俺の心配じゃなくて自分の心配を」
「泣かない…で」
腹部からドロドロと流れる彼女の血。
「もう喋らないで…
今止血を」
涙で視界が歪む。
「あ、たしは…まつ…ばの笑った顔が…
だい…すき」
彼女は俺の手を
彼女の胸に当てた。
それが彼女の最期の
俺に対する言葉だった。
愛ほど歪んだ呪いはない。
本当に
そうなのかもしれない。
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作者名:イカしたガール | 作成日時:2023年11月5日 23時