手紙 ページ39
◯
あの日から数ヶ月後、私は相澤先生に呼び出された。
何か悪い事したっけと疑問に思っていた。
扉に手をかける前に小さく深呼吸をして、コンコンとノックして開けた。
部屋には相澤先生しかいなかった。
相澤先生は私に席に座るように促した。
私は相澤先生に指示された通りに、相澤先生と机を挟んで座った。
一呼吸開けて、相澤先生は静かに一つの封筒を差し出してきた。
表には"Aへ"と書かれていた。
『何ですか？』
「まぁ、見てみろ。」
私は言われるがままに、渡された封筒を開けようと封筒を裏返した。
裏には、綺麗な字で差出人の名前があった。
『お母さん……？』
"母より"そう書かれていた。
私はびっくりして先生の目を見た。
すると、先生はゆっくりと話し出した。
「昨日、会いに行って来た。前から居場所を探していたんだが、なかなか見つからなかったんだ。」
『そう、ですか。』
私はそう言うしか無かった。
「お前のお母さんは、田舎の病院の精神科に入院していた。俺が会いに行った時、お前の事を沢山聞いてきたよ。逃げ出した事を本当に後悔していると言っていた。」
私はどういう意味か分からなかった。
「許されるか分からないけど、あの子に渡して欲しいですと言って、この手紙を俺に渡して来た。」
先生は手紙に目をやり、そう続けた。
私は封筒を開けて、中の便箋を取り出した。
中身を読んでいる時に涙が溢れてくるのが自分で分かった。
手紙を全て読み終わった時、私は声を上げて泣いていた。
涙が止まらなかった。
先生は近くに来て私の頭を撫でてくれた。
私が落ち着くまで側に居てくれた。
『……すいません、取り乱して。』
数分、もしくは数十分泣き続けて、涙が出尽くした。
はっと冷静になると、人前で泣き叫んでいた事が恥ずかしくなった。
「別に。お前が救われたならそれで良い。」
『っ、ありがとうございました。』
私はそう言って、部屋を出ようと立ち上がった。
扉に手を掛けた時、私は振り返って先生に言った。
『……明日、学校休んでもいいですか？』
「もちろん。会いに行って来い。」
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ゆのん(プロフ) - 感動しました。私自身、前の父親にそれに近い事をされていたので、自分の話のように感情輸入出来ました。 (3月13日 17時) (
レス) @page45 id: 9b31ba286d (このIDを非表示/違反報告)
脅威のセラフ - とても素敵な作品をありがとうございました。私は病気を患っているので勇気が出ました！ (2020年7月12日 19時) (レス) id: 285d3eca52 (このIDを非表示/違反報告)
美琴(プロフ) - お話がとても深くて素晴らしかったです！ (2020年5月10日 16時) (レス) id: 8087b8e5a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるちこ | 作成日時：2019年9月23日 0時
