あのね、聞いて君が好き。【木兎光太郎】

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▹▸木兎







もう少しで卒業なんて正直信じられない。


この1年は濃くて甘くて悔しくて

切なくて苦くて楽しくて面白くて最高の1年だった。











完全に俺の片思い。


やっとの思いで振り向いてもらって

今、Aちゃんの隣を歩けてる。









みんなには堂々と将来のことを言ってる。

『プロになる』日本を背負う選手になる。

これから先の未来が楽しみでしょうがない。






大好きなバレーボールして

隣には大好きなAちゃんがいる。

木葉も小見やんもあかーしも、みんないる。

みんな笑ってる。

でも時々怖くなる






ずっと好きなのも

ずっとAちゃんが1番なのは変わらない。











ねぇ。Aちゃん。












「俺、Aちゃんが1番だよ。」

『･･･？！いきなりどうしたんですか？？ 』










驚いた顔をして、直ぐに優しく微笑む。







「んーん。何でもなーい」

『ヘンな木兎さん。』












Aちゃんにはちゃんと言わなくちゃ。

俺の描く未来の話を。






でもいざAちゃんを前にすると言えない。『好き』とか『愛してる』とか『可愛い』なんて言葉は出てくるのに。









あーー。


Aちゃんは優しいからきっと俺の夢を応援して笑顔で背中を押してくれる。いっぱいいっぱい我慢させちゃうし、会えない時間が増えるかもしれない。







それでも･･･



君は俺を選んでくれる？？














好きな子には世界一幸せになって欲しい

出来れば俺の隣で







だけど俺のワガママにAちゃんの未来を、付き合わせちゃいけない。




俺に俺の夢があるように

俺に俺の未来があるように。


AちゃんにはAちゃんの夢と未来がある。











俺はちゃんとAちゃんを支えられてる？？













「なぁ。Aちゃん。俺が卒業したら･･･寂しい？」








ーー俺は寂しいよ。


今以上にAちゃんと気軽に会えなくなるんだよ？





廊下ですれ違えないし

お昼ご飯のひと口ちょーだいも出来なくなる。

帰り道にアイス食えなくなるし。















『･･･寂しくないですよ。木兎さんが夢を追いかけてる姿大好きですから。私は何があっても応援します。私の一番は木兎さんです。』










Aちゃんの髪が揺れる。


俺の少し前を歩きながら答えるその表情は分からなかった。

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