卒業 ページ43
▹▸A
「A。遅刻するよ?早くして」
『ん〜、後ちょっと!』
鏡の前でクルリと一回転。
うん。寝癖なーし。
『・・・ふぅ。』
「ふぅ。じゃないから。いつまで待たせる気だったわけ?」
今日が私とけーちゃんが梟谷の制服に袖を通す最後の日。
ブレザーのポッケの中にはあの日木兎さんが「行ってきます」という言葉一緒に、卒業する時にくれた第2ボタン。
この一年、木兎さんには1度も会ってない。
木兎さんは「会いたーい」とか「Aちゃん不足で死にそう」とか送ってくるけど、メッセージのやり取りは週に数回出来たらいい方だし、電話は月に1、2回程度。
会いたくて堪らないけどそれと同じくらい怖くてたまらない。まだ木兎さんの中に私は居るのかなって思ってしまう。
「ボーッとしてないで行くよ?」
『はぁい。』
ねぇ、木兎さん。
やっと、私の中の最後の木兎さんに追いつけたよ。
もう、私も卒業ですよ??
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーー
「ーー卒業生、退場。」
あの日、木兎さんの胸に添えられ揺れていたコサージュの花が自分の胸で揺れている。
涙は出なかった。
寂しかったし、皆とのお別れは辛かったのに。
「桜庭〜。写真撮ろうぜー」
「おーい!A!早く!」
「赤葦も早く来いよ!」
「最後なんだから!」
『あ〜ごめん。私、』
「・・・Aは行きたいところがあるんだってさ〜」
どうにかやんわりと断ろうとクラスメイトに苦笑いすると、後ろから助け舟が出される。
『・・・けーちゃんありがと。』
「いーよ。あ、言い忘れてだけど明日から俺Aのこと起こしてやれないから。」
えっ・・・??
「この花束は要らないでしょ。」
悪戯っぽくフワリと笑うと、けーちゃんは私の胸ポケットからコサージュを引き抜く。
「 卒業おめでとう。」
『けーちゃんも、おめでとう。』
「行ってらっしゃい。A。」
『行ってきます。けーちゃん。』
けーちゃんの幼馴染みで良かったよ。
いっぱいいっぱいありがとう。ごめんね。
けーちゃんに手を振り返し
あの場所を目指す。
せめて。
今だけ
貴方の面影に触れてたい。
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ろん。(プロフ) - おまんじゅうさん» えぇ?!めちゃくちゃ嬉しいお言葉です…っ😭😭新作は幾つか案が出て居るのでなるべく早く書けるように頑張りますねᕙ( ˙꒳˙ )ᕗありがとうございました💕✨ (2022年4月3日 7時) (レス) id: bd82f03367 (このIDを非表示/違反報告)
おまんじゅう - この夢小説神過ぎて号泣しました!!😭✨これからも占ツクの作品作り頑張って下さい!✌️ (2022年4月3日 1時) (レス) @page50 id: 620ff6aba0 (このIDを非表示/違反報告)
ろん。(プロフ) - 塩入り紅茶さん» こちらこそ数ある夢小説の中でこの作品を見て下さりありがとうございます(*´˘`*)コメントまでして頂いて私はめちゃめちゃ幸せものです。本当にありがとうございます!! (2022年3月28日 22時) (レス) id: bd82f03367 (このIDを非表示/違反報告)
塩入り紅茶 - ろん。さん、こんな素敵な作品を書いていただきありがとうございます!私は木兎さん好きなのでなんだかかわいい姿を見たみたいで面白かったです!ありがとうございました!!!! (2022年3月28日 22時) (レス) @page50 id: 2b0f4e3316 (このIDを非表示/違反報告)
ろん。(プロフ) - 黒瀬将哲さん» 黒瀬将哲さん素敵なコメントありがとうございます( ;꒳; )私はこのコメントに泣きました…バイトの休憩中にこのコメント…っ!!社畜後に暖かいコメント嬉しかったです( *´꒳`* )こちらこそ出会って下さりありがとうございました!! (2022年3月13日 16時) (レス) id: bd82f03367 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ缶本仕込み | 作者ホームページ:http://@ya love
作成日時:2021年11月1日 23時