▫️それは遠い昔の話 ページ15
*
「ーーよし！今日の練習はここまでな！」
玲王の終了の合図とともに、二日目の練習が終わりを迎えた。
泥まみれで息を切らす部員それぞれにスポーツドリンクとタオルを渡し、労いの言葉をかける。
「練習疲れたー」
「ふふ、凪くんお疲れ様」
「Aもマネージャーの仕事お疲れ」
汗を拭いながらベンチに座り込む凪くん。
嫌々で疲れたなんて言いながらも、きちんと部活に顔を出してるだけ彼にとっては進歩なんだと思う。
そこへ着替えを済ませ慌てて駆け寄ってくる玲王の姿。
「凪悪い！今日家まで送ってやれそうにねぇわ！」
「えー」
「ちょっと家の用事が出来てさ。明日は送ってやるから！」
少し不満そうにブツブツと言葉を垂れる凪くんを前に、玲王の携帯の着信音が会話への終止符を打つ。
悪い！と申し訳ない表情を浮かべながら後にする彼に声をかけた。
「玲王！ーー頑張ってね！！」
「…おう！」
一瞬だけ目を見開いた様子だったけど、すぐにいつもの笑顔に戻り、その場を走っていく。
そんな玲王の背中を見届けながら、小さく息をついた。
「…相変わらず玲王は忙しそうだね」
「お金持ちの息子だからね。俺なら金だけ持って離脱する」
「ふふ、凪くんらしいや」
夕陽も沈みかけ、ぞろぞろと他の部員も下校を始める。
二人でベンチに座りながら、特に何を話すわけでもなく物思いにふけるこの時間。
なんだか心地よかった。
「……俺さ、Aに聞きたいことがあるんだけど」
「ん？」
「二人って、何かあったの？」
和やかな雰囲気の中、凪くんから切り出される突飛な話に耳を疑った。
彼の言う��二人��は聞かずともわかる。
「え…急にどうして？」
「見てればわかるよ。仲良いように見えるけど互いに距離を図ってるよね」
ーー凪くんって、見てないようでよく人のことを見てる。
きっと、心配してくれてるんだろうな。
「別に、話したくないならそれでもいいけど」
「ううん。私も凪くんには話しておきたい」
こうして凪くんと二人で向き合って話をする機会があまりないから。
私達のことをきちんと見てくれる友人として、しっかり話をするべきだと思った。
「…私ね、昔玲王と付き合ってたんだ」
「 それは遠い昔の話 」
(幼き頃の、二人の思い出)
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宇治(プロフ) - いのりさん» いのりさん、ご無沙汰しております♪お優しいお心遣い感謝です(泣)励みになります…まさかこんなにスランプに陥ると思っていませんでした…。凪くん楽しく執筆させていただきますね！ありがとうございます♪ (2023年2月17日 13時) (
レス) id: 7205c6bdcb (このIDを非表示/違反報告)
いのり(プロフ) - 宇治さん！こんにちは！スランプって大変ですよね…。ゆっくり宇治さんのペースで大丈夫ですよ！応援してます♡ (2023年2月17日 7時) (レス) @page26 id: 61b0845b42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宇治 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uji/
作成日時：2023年1月28日 17時
