▫️前言撤回 ページ14
*
「飢えた獣から俺達がお姫様を守らないとでしょ」
その言葉を置いていった凪くんの後ろ姿はいつもと違って頼もしく見えて。
初めて玲王と凪くんのプレイスタイルを見て、この二人なら本当に頂点に立てるんじゃないか。
素人目ではあるけれど、そう感じさせるほど美しいくらいのサッカーフォームだった。
素直にかっこいいと、そう思った。
ーーはずだったんだけど。
「凪くん！練習始まっちゃうよ！起きて！！」
「えーめんどくさい。A連れてってー」
……前言撤回。
全然頼もしくない。昨日の勇姿は幻覚だ、きっと。
口を噤み、ペタっと机に這いつくばっている凪くんの手を引っ張ろうともビクともしない。
どうしたものかと小さく息をつくと、教室の扉が雑な音を立てる。
「おーい凪！練習行けるかー？」
「レオおんぶしてー」
「ったく、しょうがない奴だな」
ほら、と腰を屈めると満足気にその背中に身を預ける凪くんの様。
なんとか凪くんを連れ出して廊下に出ると、女子が玲王の周りを埋め尽くす。
「玲王くーん！一緒に帰ろ！」
「あーまた今度な！今日はこいつとサッカーの練習があるから！」
そう言って玲王は目いっぱいの欠伸をする背中の凪くんを指差し、笑顔を見せる。
「最近玲王、全然一緒に帰ってくれないね」
「そうだ！私サッカー部のマネージャーになろうかな」
「悪い！マネージャーはもう決まったんだ！」
「そうなの？でも二人いても問題ないよねー？」
そう言って女の子がこちらを挑戦的な眼差しで見つめてくる。
まるで私から返る言葉を待っているかのような語尾の主張にどうしようか迷っていると、それまで静かに事の成り行きを見ていた凪くんが目の前の女子に声をかける。
「ねえ。キミはなんでマネージャーになりたいの？」
「え？それは……」
直球の質疑に頬を赤らめて、ちらりと玲王の顔を伺う。
言葉を濁す恋する乙女のその様子に一向に返ってこない返事を待っていると、痺れを切らした凪くんは玲王の背中から降りて言い放った。
「キミ、めんどくさいよ」
「なっ…」
「マネージャーは二人もいらない。Aだけでいい」
少しだけ冷めたような視線と声色。
容赦のない拒否反応に場の空気に淀みが生じる中、行くよ、Aと凪くんから手を引かれ、その後ろをついて行く。
玲王の声が追いかけてくるのを耳にそのまま部活に向かった。
「 前言撤回 」
(やっぱり頼もしい人…なのかも)
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宇治(プロフ) - いのりさん» いのりさん、ご無沙汰しております♪お優しいお心遣い感謝です(泣)励みになります…まさかこんなにスランプに陥ると思っていませんでした…。凪くん楽しく執筆させていただきますね！ありがとうございます♪ (2023年2月17日 13時) (
レス) id: 7205c6bdcb (このIDを非表示/違反報告)
いのり(プロフ) - 宇治さん！こんにちは！スランプって大変ですよね…。ゆっくり宇治さんのペースで大丈夫ですよ！応援してます♡ (2023年2月17日 7時) (レス) @page26 id: 61b0845b42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宇治 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uji/
作成日時：2023年1月28日 17時
