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▫️貴重な一個 - 2 ページ20

*



どうしよう。
玲王と一緒に帰るなんて付き合ってた時以来だ。

ーーでも、あの時みたいにまた断られるかもしれない。
断られた時の寂しさが私自身を否定されているような、まるで必要とされていないような、そんなトラウマになっていて。

玲王と帰りの約束をすることが少しだけ……怖い。
でも断ったらまたあの時みたいに傷付いた顔を見ることになるのかと思うと…もっと怖い。



「……A。どうしたの?顔色悪いけど」


俯きがちに自席につこうと向かった時、ふと顔を上げると目の前には凪くんの姿。
長身の体を屈ませ、私の顔色を伺ってくる彼になんだか気まずくなって視線を逸らす。



「う、ううん!別になんでも!」

「…レオとなんかあったの?」

「何も無いよ!部活の話してただけ」

「ふーん…だったらこっち見て」


凪くんの落ち着いた低音の声色。
おそるおそる顔を上向けた時、ぽいっと私の口いっぱいにふんわりとした食感が入り込む。

それは甘くて柔らかくて、ザラメのついたメロンパンだった。



「これ…」

「あげる。だから元気出してよ。Aが元気ないと俺も調子出ないし」


もう一個しかないんだよ、それ。と少し貴重感を醸し出す凪くん。
初対面の時私が踏み潰してしまったあの時のメロンパンと同じ外袋だった。

もしかして…凪くんお気に入りなのかな?
しかも食べかけだし、さっきまで食べてたのかな?

そんなふうに思うとなんだか笑えてきて。



「ふふ…あははは!ありがとう凪くん!」


こんなに笑ったのはいつぶりだろう、と。
そんなふうに思いながらいつも遠回しに優しさを投げかけてくれる彼に感謝し、メロンパンを頬張ったのだった。





「 貴重な一個 」
(美味しいけど授業始まっちゃった)


凛くんのいちゃいちゃが書きたくて書きたくて……気分転換に執筆しています(ニタァ)
長編作品にするか、はたまたちょっぴりなお話にするか迷ってますが、さて需要があるかどうか…
連載開始時は温かく見守ってやってください。

宇治

▫️さよなら、私の初恋→←▫️貴重な一個



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宇治(プロフ) - いのりさん» いのりさん、ご無沙汰しております♪お優しいお心遣い感謝です(泣)励みになります…まさかこんなにスランプに陥ると思っていませんでした…。凪くん楽しく執筆させていただきますね!ありがとうございます♪ (2023年2月17日 13時) (レス) id: 7205c6bdcb (このIDを非表示/違反報告)
いのり(プロフ) - 宇治さん!こんにちは!スランプって大変ですよね…。ゆっくり宇治さんのペースで大丈夫ですよ!応援してます♡ (2023年2月17日 7時) (レス) @page26 id: 61b0845b42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:宇治 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uji/  
作成日時:2023年1月28日 17時

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