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「おい。お前遠山真桜だよな?」
「はい」
私に声をかけて来たのは、いかつい見た目の年上の人たちだった。
そう、ちょうど龍樹みたいな。
「戸村が喧嘩してんだけど、ちょっと止めるの手伝ってくれない?」
喧嘩。
そう聞いて、私はいてもたってもいられなくなった。
中学の頃みた、龍樹の姿を思い出す。
唇は切れて、青あざがあちこちにあって、泥が付いていた。
勝ってあれなら、もし負けたら龍樹は、どうなるの?
恐怖が体を支配していく。
震えだした腕を抑えていった。
「どこですか?」
*
連れてこられたのは、もう使われなくなった倉庫だった。
やけに静かだな、と思って後ろを振り返った瞬間、羽交い締めにされた。
「何するんですか!?」
「うっせえ!
黙ってろ!」
手を縛られて、倉庫の床に転がされた。
体をよじると、砂と埃で汚れた私の制服が目に入った。
はははっと笑う男が真上にいた。
私はそいつを睨みつける。
「離してください!」
「無理だね」
「なんでですか」
「おめえら塔森の奴らは俺らのこと見下してばっかじゃねえか。
そんな奴が戸村龍樹と付き合う?
ふざけんじゃねえっ!!
俺らはあいつには敵わねえってあいつのこと尊敬してたんだよっ!
そいつがこんな奴と付き合うとか、まじでねえわ。
だからさ。
戸村のやつを苦しめてやるからよ。
協力してくれや。
な?」
そう言いながら彼は私の頭を掴んだ。
「いたっ」
「なに、ちょっと楽しいことするだけだからよ」
恐怖が、体を、支配した。
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かぷりちお - コメントありがとうございます!亀更新ですが、完結は必ずしますので、気長に読んでくださると嬉しいです! (2018年8月24日 2時) (レス) id: 0810d4d9bb (このIDを非表示/違反報告)
G - 続き気になる (2018年8月22日 16時) (レス) id: cad32de435 (このIDを非表示/違反報告)
あいり - 続き書かれる予定はありますか、、、?設定が面白いので思わず読み入ってしまいました笑 (2018年8月22日 11時) (レス) id: 5cff57e74b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かぷりちお | 作成日時:2018年6月27日 19時