Seiren (ページ16)

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歌が終わると広間にいた全員が拍手喝采をした。

どうやらこの帽子によって寮が決まるらしい。
マクゴナガル先生が長い羊皮紙の巻紙を手にして前に進み出た。

「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子をかぶって椅子に座り、組分けを受けてください」

このときテレ―スはドキリとした。ABC順であれば、心の準備をする間もなく呼ばれるはずだからだ。

「アケロ・テレ―ス！」

テレ―スは一番に呼ばれるなんて、始まって早々ついてるとしか言いようがないと思った。

「テレ―ス頑張って！」

後ろでキャシーの声が聞こえる。ジョシュにも背中を押され帽子の下へと向かう。

帽子をかぶると目が隠れるほどだった。腰かけた、一瞬の沈黙。

「ふーむ、君は興味深い個性の持ち主じゃな。君のような生徒は過去に一人だけおったな。その彼女はグリフィンドールへ行ったが、君はとても賢い。地頭がよく、機転の利く人物じゃ。友をよく大事にし、周囲への配慮も忘れない。君の個性で何人も魅了する魔力を秘め、狡猾さも垣間見える。これは…」

「スリザリン！」

帽子が叫ぶとスリザリンのテーブルから歓声と拍手があがり、テレ―スはスリザリンのテーブルに着いた。スリザリン生たちからの歓迎に安心し、テレ―スは儀式の続きを見守った。

次々と名前が呼ばれ、儀式が進んでいく。キャシーはハッフルパフ、セブルスとジョシュはテレ―スと同じくスリザリンに。そしてリリーやジェームズ、シリウスはグリフィンドールに迎えられた。その中でもテレ―スの中で印象に残ったのは、シリウスの組分けだ。テレ―ス含めすべての新入生が活気良く各寮に迎えられたが、シリウスの時だけ静まり返り、皆が小声で何か話していたのだ。

「どうしてブラックがグリフィンドールに？」

「あいつは血を裏切ったんだ」

「勘当されるだろうな」

テレ―スは、周囲でそのようなことが聞こえてくるも、何が起こっているのかよく分からなかった。しかし、あまり良い雰囲気でないことだけは感じ取れた。