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一つにまとめていた髪を降ろすと、気が少しだけ楽になる。スイッチ、みたいなものが私にもあるとは思わないけど、毎日のように行うこの行為をしていると、無意識のうちにスイッチの切り替えをしているのかも。

外で待っているであろう銀さんをこれ以上待たせないように早歩きで店を出る。
スクーターの横に立っている銀さんの髪が、月の光に照らされて儚い輝きを放っていた。


「銀さん、お待たせしました」
「おー」


なぜか銀さんは私を後ろに乗せない。
まだアルコールは一滴も体内に入ってはいないというのに、銀さんはスクーターを押して居酒屋へと向かう。

けれど、その間も会話は続くし、銀さんの隣はなんだか不思議で、落ち着くから歩くのもいいと思わせてくれる。


いつも来ている居酒屋の暖簾を潜ると、気前のいいおじさんが迎えてくれる。あたたかい笑顔を私たちに向けたおじさんは、慣れているのか勝手に座るように促す。

銀さんが一番端へ座るから、私はその隣。



「おじさん、生一つお願いします」
「俺もそれで頼まァ」


冷えたおしぼりで手を綺麗に拭いてから、前に立てられたメニューを銀さんと二人で覗く。
周りからすれば距離が近い、らしいけど、私はそうは思っていない。銀さんは誰にでも距離が近いから、きっとこれが普通なんだと慣れてしまった。





薄らと頬をピンク色に染め、死んだような瞳はいつも以上に生気を失っていた。
口から出る言葉はどれも言葉とは形容しがたい単語ばかり。



(……これは、かなり酔ってる)


銀さんがどれだけ飲んだのかは私にはわからないけど、水滴が重力に逆らうことなく落ちていくジョッキの数を三つほど数えたところで、意味が無いと諦めた。


「銀さん、ここで寝ないでくださいよ。家に帰ってくださいよ」
「んァ?」


焦点の合わない目で見つめられる。身体をゆさゆさと揺らしても意識がはっきりとすることはなさそうだ。



「Aってさァ、美味そうだよなァ」
「……。は!?」


じっと見つめられながらふふん、と鼻歌を歌う銀さんが突然意味のわからないことを言う。一瞬反応が遅れて、大きな声を出してしまった。



「銀さん、銀さん。私人間だから美味しくないです。ほら、帰りましょう?」


銀さんに手を差し出すと大人しくそれを掴んだ。


銀さんが酔うのはいつものことだけど、ここまで酔うのは久しぶりだなあと考えながら、結局初めての奢りとなってしまった居酒屋を、銀さんの手を引きながら後にした

Story2-1*栗色の彼→←Story1-1*銀色の彼



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ルナ - 面白いです!!!!!!更新楽しみにしてます!!! (2017年11月2日 17時) (レス) id: e20793d2a1 (このIDを非表示/違反報告)
宮前(プロフ) - @+*natu-milk*+さん» コメントありがとうございます!返信が遅くて申し訳ありません……!!面白いですか?ありがとうございます!銀魂で作品を書くのは初めてなので口調が崩れてしまいそうで怖いです笑これからもっと面白くしていけるよう頑張りますので、よろしくおねがいします! (2017年11月2日 1時) (レス) id: ee3aeef9d2 (このIDを非表示/違反報告)
@+*natu-milk*+(プロフ) - 面白いです、もんすごく面白いです←)更新とか色々(←)頑張ってください!! (2017年10月29日 10時) (レス) id: 4a80c9a6db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:宮前 | 作成日時:2017年10月29日 5時

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