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Story1-1*銀色の彼 ページ2

がやがやと煩い音を聞き流しながら、誰も注目していないカウンターで一人、頬杖をつく。
開店直後はお客が真剣に打ち込むから、何もすることがない。

掃除も、景品の準備も全て開店前に終わらせているから。点滅する光が目に優しくないが、長時間見続けていると、次第に慣れてくる。


顔を強ばらせて欠伸を咬み殺す。



(昨日、夜遅かったもんなあ)



昨夜は遅くまで一人飲んでいた。
友達がいないとか、そういう訳ではなく、ただ私は一人で飲むのが好きなだけ。店主には寂しいねえ、とどこか同情を向けられたような記憶があるが、いらないお世話だ。



(……ねっむい)



「あれ、眠そうじゃん」


ふと横から聞こえた声にびくりと身体を震わせる。目をまん丸に見開いでその声の持ち主を見た。

私と同じように眠そうな目はいつものことで。私と同じようにやる気のない顔もいつものこと。ふわふわで触り心地の良さそうな、その綺麗な髪を乱暴にかきながら、なぜか彼――銀さんはパチンコ台ではなく私の元へ来ていた。



「昨日少しありまして。それより打たないんです?」
「金欠なんですぅ言わせんな」
「ならお帰りください。営業妨害ですよ」
「A俺に対して冷たくねェ?」
「そんなことありません。さあ」


どうぞ、と扉に手を伸ばして帰れとアピールをするが、銀さんは全然帰ろうとはしなかった。むしろさっきまでの私と同じように頬杖をついて、長居するつもりらしい。



(お金もないのにパチンコなんて、どれだけ中毒なの……。)


なんて、暇さえあれば居酒屋かパチンコに来ている私が言えたことじゃないけれど。
私も大概中毒だなあ、と苦笑いを零す。



「今日は何時上がり?」
「夜の八時ですね」



銀さんがこうやって私の上がり時間を聞くのは珍しくない。むしろ毎回こうやって聞いてきて、そうして帰りは家まで送ってくれる。
かと言って私がそのまま彼を家にあげたことはないけれど。


「いつもより早いじゃん。終わったら飲みに行こうぜ」
「奢りませんからね?」


今まで銀さんが私に奢らせた試しは一度もない。が、用心するに越したことは無い。一日分奢ることぐらいは出来るが、一度奢ってしまえばそれが癖になりそうでこわい。


「お前銀さんのことなんだと思ってんだよォ」
「マダオ、ですかね」


仕事中にしか作らない笑みを貼り付けると、ひくひくと頬を引き攣らせる銀さん。



(普段の行いだって)

◆1-2→←Setting



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ルナ - 面白いです!!!!!!更新楽しみにしてます!!! (2017年11月2日 17時) (レス) id: e20793d2a1 (このIDを非表示/違反報告)
宮前(プロフ) - @+*natu-milk*+さん» コメントありがとうございます!返信が遅くて申し訳ありません……!!面白いですか?ありがとうございます!銀魂で作品を書くのは初めてなので口調が崩れてしまいそうで怖いです笑これからもっと面白くしていけるよう頑張りますので、よろしくおねがいします! (2017年11月2日 1時) (レス) id: ee3aeef9d2 (このIDを非表示/違反報告)
@+*natu-milk*+(プロフ) - 面白いです、もんすごく面白いです←)更新とか色々(←)頑張ってください!! (2017年10月29日 10時) (レス) id: 4a80c9a6db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:宮前 | 作成日時:2017年10月29日 5時

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