【銀魂】すみません、彼氏ください (ページ6)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:10,247 hit

◆2-3 ページ6

本心からめんどくさそうな声で言われては、わたしがこれ以上落ち込んでも仕方ないと思えた。
漫画を読んでいた彼は鼻をほじりながらわたしを見る。漫画はいつの間にか机の上に置かれていた。

「山崎さん、わたしが落としたら、それは、どうなるんですか？」

そう聞くと、なぜか嬉しそうに笑った。

「正真正銘、本物の彼氏になる」

(本物の……、)

心の中で山崎さんの言葉を復唱して、わたしはある一人を見た。しっかりと交わる視線は、どこか居心地が悪く感じる。

「わかりました！それでわたしは、この中から一人選べばいいですか？」
「うん、選んで」

わたしが見たことにより察しはついているんだろう。本人はどうでもよさそうにしているが、どこかバツの悪そうな表情も混ざっているように取れる。

「――銀髪さん、あなたにします」

全員が全員察していたようで、誰も驚きはしなかった。選んだ理由はこれといってない。そう、ない。
ただの直感。

この中なら携帯をいじっていた栗色の人か、眼帯の人を選べばわたしを嘲笑った彼女を驚かせることが出来るだろう。でも、それは出来なかった。
このお店のシステムを知った今、それだけで選んじゃいけないと思った。

銀髪さんはゆっくりと立ち上がり、わたしの目の前に立つ。やる気のない瞳がわたしを見下ろすが、怖くはなかった。

「このちんちくりんが俺を買うって？銀さん高いよ？」

どこかバカにするような笑い方をされて、少しずつ苛立ちが募っていく。
軽率に決めちゃいけないとは思ったけど、これは間違いかもしれない。

(……人の気にしてることをやすやすと……!!)

「覚悟しててくださいよ！必ず落としてみせますから!!」

睨みつけるように見上げて、宣戦布告する。
そうして彼は、酷く楽しそうに笑った。

「お前も覚悟してろよ？俺から離れられねェぐらいに落としてやるよ」

(え、そんなのアリ？)