7人の祓い屋 (ページ10)

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８話ページ10

？side

古く見えるがずっしりと構えるその屋敷は
存在感が驚くほど無く、

まるで…導かれた者だけが

たどり着けるような場所だった。

だから…俺はここに来れたんだ。

ガラガラと鳴る引き戸を開ければ
先が真っ暗になる程長い通路
(絶対疲れんだろこれ…)

ふと横を見ると

《貴方の要件をお書きください》

と書いた紙と色とりどりの蝶の形をした紙があった

その中から俺はいわゆるスミレ色をした紙をとり

【______________。】

と書いた

するとフワッとその紙が蝶になり

まるで俺を導くかのように俺の前を飛んでいった

それをついていくと案外すぐ止まった

後ろを振り返るとゾッとするほどの闇だった

(どうして…そこまで歩いていないのに…)

蝶はスルリとドアを抜けたそして間も無く

？「入りなよ」

という男性の声がした。凛とした声だった。

扉を開けて中に入るとそこは50畳位の広い部屋で

窓際に寄りかかって紫色の煙管を吸う

気怠げな男性がいた

？「ようこそ。紫紺堂へ。店主の一松。何用で？」

紫色の着物で肩に蝶を乗せて言う

その姿は一言で言って

【美しかった】

？「お……ほ……う……さい…」

一「ん？何？」

？「俺を奉公人にしてください！！」

一松さんは驚きもしない様子でこう言った

一「酷い事を言うようだけど、そんな事をして、

僕に何のメリットがあるの？」

【メリット】これは俺が一番嫌いな言葉だ

？「…っ！！」

一「ねぇ。君の名前は？」

？「俺は…黄昏。黄昏だ。」

一「！！」

今まで一向に驚かなかった一松さんが

眠そうな目を見開いて驚いた

一「そうか…こいつが…なるほどな…よく似てる」

そしてブツブツと独り言を言った後

一「改めて…ようこそ。紫紺堂へ。」

と言った

黄「じゃあ！！」

一「うん、でも、お前の名前は【スズ】だよ。」

黄「え？！俺は黄昏が！」

すると一松さんはとても悲しそうな顔で話した

一「ねえ。黄昏…お前に兄がいる事は覚えてる？」

黄「兄ですか？いいえ？そんなのはいませんよ？」

一「そうだよナァ……ゴメンな…」

黄「話してください。俺に関係ある話なら」

一「…今から僕が言うのは独り言だ。お前は偶然聞いた。それだけ。この話が終わったら逃げるもよし。喚くもよし。この場に残るも良し。僕を…

殺すも良し。」

黄「？！何言って！」

一「じゃあ、始めるよ。昔話だよ。かわいそうな

【猫又】の。」