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「ドラケン、聞いてくれ。今日名前聞いてもらえた」
「おー。仕事休みだったはずなのにわざわざ来た甲斐があったな」
Aが離れたところで待ってくれてるのを確認してから、隣で後輪のパーツをいじる彼に乾は嬉しそうに声をかける。
「てか、イヌピーめちゃくちゃ不機嫌そうな顔に見えてたけどあれ大丈夫か？」
「え、」
にやけないように必死だった故に、あんな顔になってしまっていた。"ドラケンは名前呼びなのに、オレは苗字でちょっとガッカリした"と乾は小声で困ったように呟くが、これもAには届くことはない。
＊
メンテナンス後、近場でバイクがちゃんと走るかを確認する。いつもは私の代わりに堅くんが確認してくれる。
「今日はイヌピーが確認したいってさ」
「え。私、乾さんに嫌われてるのかと思ってました… 」
「まぁ、今日はイヌピーに任せてやってくれ」
「私は構いませんけど…」
堅くんに押され、今日は乾さんに任せることになってしまった。私たちが話し終わったところに乾が店から出てくる。
「よし、行くか」
Aの方を見て、乾はAに向かって手を差し出してきた。
「ん？」
意味が分からず、堅くんの方を確認するも、堅くんは顔を抑えて笑い、そーゆーこと？と乾さんに笑いながら問いかける。
「イヌピー、2人で行きたいんだって」
「堅くんと？」
「オレじゃなくて、Aちゃんと」
言葉の意味がちょっとよく分からずに一瞬考える。
私嫌われてるのかと思ったけど、違うの？
今までほぼ話したこともないようなバイク屋のめちゃくちゃ綺麗なお兄さんにデートに誘われてるって解釈で合ってる？
でも、嫌われてるわけじゃないなら誘ってくれた彼にも申し訳ない。それに、手を取らないと彼の表情がちょっと眉を下げて寂しそうにするのを見ていられなくて、彼の手を取った。
Aが手を取ると何かを言うよりも先に、ぱっと明るくなる乾。嬉しそうな空気が溢れている。
純粋にそれを可愛いと感じてしまい断れなかった。
「Aさん、後ろ乗って」
「う、うん」
普段は1人で乗っているからか、2人でましてやこんなに綺麗な人と密着するのは緊張して体が強ばる。
バイクに跨って、そっと彼のお腹あたりに腕を回した。正直どこに手をやっていいのか分からない。
作業着のつなぎの爽やかな柔軟剤の香り、それに少しだけ仕事場のオイルの匂いがする。
不思議と嫌な匂いじゃなくて、どこか安心する香りだった。
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Alice(プロフ) - きなこだいふくさん» 最後までお付き合いいただきありがとうございました…！そんな風に言っていただけて嬉しい限りです…！続編を作るかもしれないので、もし作った際はぜひよろしくお願い致します♡ (2022年4月2日 17時) (
レス) id: fa28fe383f (このIDを非表示/違反報告)
きなこだいふく(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白い話がたくさんあり、私自身とても楽しく読み進めることができました。こんな神作をありがとうございます！そして、更新お疲れ様でした！ (2022年4月2日 11時) (レス) @page46 id: 90c5be706c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Alice | 作成日時：2021年9月19日 20時
