検索窓
今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:30,729 hit

買われた 2 ページ4

『……は?』




 名案、とばかりに頷いた泉さんは、私の膝裏に強引に手を差し込むと持ち上げる。
いわゆるお姫様だっこ、ってやつかな。




っていうか



『!!泉さん何するんですか!』

「はぁ?聞こえなかったわけ?あんたのこと買ってあげるって言ったんだけど」



 なんだこの人。

昔から思考読めなかったけど、今も分からない。だから嫌いなんだ。買うってなんだ、こんな惨めで、邪魔にしかならない私を買う必要性がどこにある。

近くで見上げる泉さんの表情は、相変わらず飄々としていて変わらない。



「丁度一人暮らし始めたばっかで手が足りなかったんだよねぇ」

『んな事どうでもいいですし、私を買って何になるんですか!』


「んー?…召使いにでもさせてあげる」

『最っ低!』



 もう意味が分からない、本格的に暴れ始めた私。同情なんて要らないのに。

どうして…。





「…………、俺にとって都合がいいから。」



『…はぁ』



 いきなりなんなんだ、と内心独ごちしながらも静かに相槌を打って話を聞く。




「………俺は、昔からあんたが好きで、初恋に後悔してた。そしたら目の前に初恋が転がってたらもう一度縋りたくなったの」

「正直、ラッキーって思ったわけ」






 ……は?

泉さんが、私を好き…?
理解が出来ないし、し得ない。


昔から、皮肉な人だけど優しい一面は持ってた。けど、私のことを好きだなんて思ってなかったのだ。私自信、嫌いだったし





思わず固まってしまう私を見、目を逸らした泉さんは、ぼそりと呟いた。









「……惨めなんかじゃない。俺には今でもあんたは綺麗に見える」


『ッ…_〜!!!』







 ぼぼぼ、と効果音を付けるならそうだろう。


赤くなったであろう顔を手で覆い、もし出来るなら両耳も塞ぎたい。
バクバク、と心臓が我を忘れて跳ねる。

違う、これは男性に耐久性が無いから揺れやすくなっただけ。








「……はぁ…。もう、俺らしくない事こんなに言わせたんだから大人しく買われてよ、お願いだから」

『……っ…好きにしてください』





 チラリと見た泉さんは、恥ずかしそうに目線をさ迷わせていたのだった。

買われた 3→←買われた 1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (120 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
313人がお気に入り
設定タグ:あんスタ , 瀬名泉
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紅茶 - めっちゃ良いです!こんな小説まってましたっ!是非続きが読みたいです、これからも頑張ってくださいヾ(*・ω・*)ノ (2019年10月13日 20時) (レス) id: dc12212b23 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - こんな神作品初めて見ました!!ヤバイくらいに面白いので、これからも更新頑張ってください!!!!! (2019年9月27日 11時) (レス) id: aed030ecf9 (このIDを非表示/違反報告)
黒。 - ななさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しい限りです!ご期待に添えられるように頑張ります! (2019年9月13日 20時) (レス) id: d8cf0890ba (このIDを非表示/違反報告)
黒。 - お菓子なこいしさん» ありがとうございます!更新頑張りますね! (2019年9月13日 20時) (レス) id: d8cf0890ba (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 神っすね!ヤバイですよこの作品!更新楽しみにしています! (2019年9月10日 0時) (レス) id: cda48c16bf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:黒。 | 作成日時:2019年8月24日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。