買われた 2 ページ4
『……は?』
名案、とばかりに頷いた泉さんは、私の膝裏に強引に手を差し込むと持ち上げる。
いわゆるお姫様だっこ、ってやつかな。
っていうか
『!!泉さん何するんですか!』
「はぁ?聞こえなかったわけ?あんたのこと買ってあげるって言ったんだけど」
なんだこの人。
昔から思考読めなかったけど、今も分からない。だから嫌いなんだ。買うってなんだ、こんな惨めで、邪魔にしかならない私を買う必要性がどこにある。
近くで見上げる泉さんの表情は、相変わらず飄々としていて変わらない。
「丁度一人暮らし始めたばっかで手が足りなかったんだよねぇ」
『んな事どうでもいいですし、私を買って何になるんですか!』
「んー?…召使いにでもさせてあげる」
『最っ低!』
もう意味が分からない、本格的に暴れ始めた私。同情なんて要らないのに。
どうして…。
「…………、俺にとって都合がいいから。」
『…はぁ』
いきなりなんなんだ、と内心独ごちしながらも静かに相槌を打って話を聞く。
「………俺は、昔からあんたが好きで、初恋に後悔してた。そしたら目の前に初恋が転がってたらもう一度縋りたくなったの」
「正直、ラッキーって思ったわけ」
……は?
泉さんが、私を好き…?
理解が出来ないし、し得ない。
昔から、皮肉な人だけど優しい一面は持ってた。けど、私のことを好きだなんて思ってなかったのだ。私自信、嫌いだったし
思わず固まってしまう私を見、目を逸らした泉さんは、ぼそりと呟いた。
「……惨めなんかじゃない。俺には今でもあんたは綺麗に見える」
『ッ…_〜!!!』
ぼぼぼ、と効果音を付けるならそうだろう。
赤くなったであろう顔を手で覆い、もし出来るなら両耳も塞ぎたい。
バクバク、と心臓が我を忘れて跳ねる。
違う、これは男性に耐久性が無いから揺れやすくなっただけ。
「……はぁ…。もう、俺らしくない事こんなに言わせたんだから大人しく買われてよ、お願いだから」
『……っ…好きにしてください』
チラリと見た泉さんは、恥ずかしそうに目線をさ迷わせていたのだった。
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紅茶 - めっちゃ良いです!こんな小説まってましたっ!是非続きが読みたいです、これからも頑張ってくださいヾ(*・ω・*)ノ (2019年10月13日 20時) (レス) id: dc12212b23 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - こんな神作品初めて見ました!!ヤバイくらいに面白いので、これからも更新頑張ってください!!!!! (2019年9月27日 11時) (レス) id: aed030ecf9 (このIDを非表示/違反報告)
黒。 - ななさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しい限りです!ご期待に添えられるように頑張ります! (2019年9月13日 20時) (レス) id: d8cf0890ba (このIDを非表示/違反報告)
黒。 - お菓子なこいしさん» ありがとうございます!更新頑張りますね! (2019年9月13日 20時) (レス) id: d8cf0890ba (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 神っすね!ヤバイですよこの作品!更新楽しみにしています! (2019年9月10日 0時) (レス) id: cda48c16bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒。 | 作成日時:2019年8月24日 18時