● ページ43
.
Tatsuya side
.
蓮が色々な場所へ検査に回されて2時間半が経とうとしたところで、ようやく先生が現れた。こちらへどうぞ、と通された無機質な診察室の回る椅子に腰をかけて話を聞く。
医「長い時間お待たせして申し訳ありませんでした。蓮くんですが、ストレス性の胃潰瘍だと思われます。吐血するまで我慢していた様なので、痛みは相当な物だったでしょう。点滴に鎮痛剤を入れて投与しています。」
辰「ありがとう、ございます。...暫くは入院になりますよね。」
医「そうですね、食事もあまり取れていない様なのでこのままお返しする訳には行かず...。現在大部屋の方へ運びましたが、ご希望があれば個室も用意致しますよ。」
辰「...兄弟が多くて、面会でうるさくなると思うのでもし用意が可能なのであれば個室でお願いしたいです。」
医「かしこまりました。...蓮くんですが、時折検査中に ごめんなさい、と謝っていたので少し心配で。ご家庭でまた様子を見てあげてください。」
辰「っ...！わかりました、ご迷惑をおかけしました。」
医「とんでもない。病棟は別館の8階、809号室です。お大事に。」
対応をしてくれた先生に頭を下げて教えて貰った病室へ行く。膨大なストレスを与えて、無意識に謝罪の言葉を口にするまで追い詰めてしまったんだと堪えられない涙を流しながら。
辰「...失礼します。」
重いスライドドアを開けると、蓮の他にもう1人ご年配のお婆さんが寝転んでいた。こちらを見るや否や、「その子のお兄さんかい？」と声を掛けられて。
辰「はい、突然の相部屋で申し訳ありません。」
婆「いいえ、丁度1人も退屈だったんでねえ。...大丈夫かい？その子は。」
辰「どうにか。命に別状は無いらしいので、安心しました。」
婆「そうかい、それは良かったよ。目が覚めたらお兄さんがいるなんて、きっと嬉しがるだろうねぇ。」
辰「...そんなこと、ないです。俺は兄貴失格、なんで。」
婆「.........どんな兄でも、弟に取っては大切な家族だよ。」
辰「こいつがこんなになるまで苦しんでる事に気付けなくて、うわ言でも謝らせて。もう、どうやって顔を向けたらいいか。」
婆「...私もねえ、姉がいたんだ。2人きりの姉妹で、私は姉が大好きだった。だけど、ある日大量の催促状が家に届いてね。闇金からだった、姉は私を保証人にしてたんだ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 733人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきこ(プロフ) - ありがとうございました❗凄い良かったです🎵感動しちゃいました‼️ (11月14日 21時) (
レス) @page45 id: e18f31e090 (このIDを非表示/違反報告)
MM - いつも楽しく読ませていただいております。リクエストをお願いします。阿部君が精神的に不安定で過呼吸になり、目黒君に支えられるお話が読みたいです。よろしくお願いします。 (11月13日 18時) (レス) @page1 id: 602146ab7d (このIDを非表示/違反報告)
めがね(プロフ) - みーさん» リクエストありがとうございます、お待たせしてしまうかもしれませんがお話書かせて頂きますᐢ. ̫.ᐢ (11月13日 14時) (レス) id: 2cbef65c9b (このIDを非表示/違反報告)
めがね(プロフ) - わたたいさん» かしこまりました。短編長編共に余裕が出来ましたら執筆させていただきます。 (11月13日 14時) (レス) id: 2cbef65c9b (このIDを非表示/違反報告)
みー - 大丈夫ですたら阿部君が学校で上手くいかず、過換気症候群になってしまい、涼太君が中心となって治療を頑張るお話しを読みたいです (11月13日 12時) (レス) @page1 id: 04d23eb273 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めがね | 作成日時：2023年11月9日 1時
