俺/僕にドキドキしてください 短編集【歌い手】

恩返し あほの坂田。 ページ28

夢主ちゃんsaid



土砂降りの雨の中、小さな公園のブランコに傘もささずに座っている。



恥ずかしい話だが、長い間付き合っていた彼氏に振られたのだ。



『はぁ…。ん？どうしたの。』



そんな私の足元に、一匹の犬がやってきた。



毛は綺麗な赤毛で目はとてもクリクリしてる。




見た所、首輪は付いておらず野良犬のようだ。







『お前も独りなのか…。』



悲しそうに潤んだ瞳でこちらを見つめてくる犬が、なんだか今の私に似ている様な気がして見放すことが出来なかった。




『…家来る？』



｢ワン｣



元気の無い声で弱々しく鳴いた犬を連れて、家へと急いだ。





『ただいま…』



誰もいない家に自分の声が響き渡るのはかなり悲しい。



大きなため息を一つ吐き、お腹が空いているであろう彼(彼女？)の為に水と、適当な食べ物を出した。



その後、一緒にお風呂に入り、一緒の布団で寝た。



翌朝、私が目を覚ますと目の前には赤髪のイケメン君が。



…ん？イケメン？いけめん…ikemenn……？



はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?


発狂するのを何とか抑え、昨日の事をゆっくりと思い出していった。




たしか、ぼっちでブランコに座ってたらわんちゃんが来てその子を連れて帰って一緒に寝た。



…あれ？犬がいない。



え、これ鶴の恩返し的な感じじゃないよね？



いやいや、犬が人間になるなんてね。



そんな訳……



？｢うぅ…ん、おはよう……。｣




あ、起きた…。



『おはよう…？』




『と、ところで…貴方誰ですか？』




ちょっと唐突過ぎたかな。



？｢僕の事覚えてないんですか？昨日助けてもらった犬です！｣



あー！やっぱりね〜




って…じゃねえわ！



『あの…何で犬が人間に？』



犬｢なんでやろ？｣



いやいやいや、首コテンってされても…。あざといな………。



てか関西弁なんだ。



犬｢とにかく！恩返しさせて欲しいんです！



だから…この家住んでもいいですか？｣




一瞬え？と思ったけど、昨日連れて帰った私にも責任はあるんだよな…。



『分かった。いいよ！』



犬｢ほんま!?やったー！じゃあこれからは坂田って呼んで！｣


『坂田？わ、分かった…』


こうして始まった不思議な同居生活。



最初は慣れない事も多かったけど、最近はもう、彼なしじゃ生きていけなくなってる。




私にとって、それくらい





大切な人。

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ

＼ｲﾐﾜｶﾝﾅｲ!／

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