夢を忘れた少女 (ページ16)

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命って、何だろう。

みんな大事で、重いものって言う。

でも、私はそんな事思えなかった。

見たから。

命が脆く崩れてしまう瞬間を。

毎日毎日思い出すあの最低な光景。

思い出してしまうと震えが止まらなくなってしまう。

外に出るのが、辛い。

光に当たるのが、苦痛で仕方ない。

でも光に当たらなければ学校には行けない。行きたくないけど、行かなきゃならない。

だからいつも我慢しながら学校に行っていた。

でも、最近はそんな思いをしなくなっていた。

天馬が来てから少し落ち着いたのだ。

だから天馬が見てくれるという修業にも出られると思っていた。

でも、あの日の夢を見てしまい体が震え、目から涙が出てくる。

まるで私に幸せになるな、悲劇を忘れるな、と言ってくるみたいだった。

そして、ほんの僅かでも持てた夢や希望は崩れるのだ。

せめて私に出来るのは他の人に同じ思いをさせないため、后月家の当主になり、その権力と力を使い人を助ける設備を作るとあの日に決めていた。

窓もドアも閉め切り真っ暗な部屋。

居心地が良いわけでは決してないが一番落ち着く。

と、思っていた矢先に襖が勢いよく開く。

驚きのあまり私は口を開けっぱなしにしていた。

さぞ不細工な顔だったに違いない。

「よう胡蝶。修業サボるとは良い度胸じゃねえか。んん？」

勢いよく襖を開けたのは天馬だったのだ。