夢を忘れた少女 (ページ12)

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「后月・・・胡蝶？お前が・・・？」

理解不能。

彼が一体何を言っているのか分からなかった。

まるで私の名前をもともと知っていたかのような言いぐさだ。

「そうよ。正真正銘私が后月胡蝶だけど？」

まだキミの名前を聞いていない。

そう言おうとしたらその言葉は見事なまでに遮られた。

「久しぶり・・・だな。んん？」

「・・・は？」

私はかつて彼と会ったことがあるのだろうか。

まあ昔と性格も容姿も結構違うから分からないのがほとんどだが。

「！！」

記憶に無いけど思い出した。

多分彼は写真に写っていた男の子だ。

「本当にキミ・・・名前は？」

彼は今までと違う笑いを見せている。

今までは人を見下したような笑いだったのに。

「俺？俺は鵜宮天馬だ。」

鵜宮天馬・・・

聞いたことあるような無いような・・・

「とりあえずお前が后月胡蝶なら楽だ。明日島に渡るぞ。」

「島・・・・？どこそこ。」

「んん～？ああ・・・面白いとこ。」

面白い？

っつかご飯食べてよ。

「俺が本土に来たわけはお前だったからな。」

何で。

「まあ・・・いろいろと。」

天馬・・・さん？くん？は茶を濁す。

まるで聞かれたくない事を聞かれたかのように。

「鵜宮・・・さん？」

彼のオッドアイの瞳は少し濁った色をした、と思う。