5話 助け舟 ページ7
「おい、そこの娘ら。」
声がする方へ視線を向けると、長く綺麗な髪をした警察官らしき人がいた。
しばらく見つめていると
「そんな奇天烈な服装して、招待状は持っているのだろうな?」
強く責められる言葉に、私は口をつぐむことしかできなかった。
「誰かと思ったら、藤田さんじゃないですか。」
そこには、眼鏡を掛けた男性が手を振りながら近づいてきた。
「小泉…」
明らかに嫌な奴に見つかった…みたいな顔をする藤田さん?を無視して眼鏡の男性は話し続けた。
「そんな怖い顔したら娘さんたちが怖がりますよ。もっとスマイリーになられては?」
「すまいりー?こんな怪しい奴らに、優しくなどできん。」
そう言って私の手を掴みこのこの会場が出ようとした時
「おぉ!!久しぶりではないか。異国への留学はさぞ疲れただろ。お前の帰りを僕も春草も待っていた。」
と鴎外さんが言い、警察官は動きを止めた。同時に春草さんは何言ってるんだろと困った顔鴎外さんを見ていた。
「え?あの…」
「陸軍軍医殿…」
「そんな訳で、この子は僕の連れだ。異国から帰国したてだから、今日はこの辺で失礼するよ。それとも、藤田警部はこの子が物の怪にでも見えるのかい?」
しばらく私を見つめる警察は、はぁとため息をし、手を離してくれた。
鴎外さんは私ににこって笑って私達は、会場の外へ出た。
(芽衣さん大丈夫かな、、、)
「では、俥を用意したからこれに乗りなさい。」
「いや、でも…」
私が戸惑っていると春草さんが、じっとこっちを見つめていた。
「本当に連れて帰るですね。」
「春草!困っている女性がいれば助けるのが紳士の役目だろ。」
そう言ったら、春草さんはそうですかと言って1人で帰ってしまった。
「さぁ、乗りたまえ。」
「でも、本当にいいのですか?」
グズグズと悩んで、乗るのに抵抗を感じている私を鴎外さんは
「はぁ…僕はグズグズしている子は嫌いだよ。それに藤田警部はお前を怪しんでいたから、またばったり会ったら、次こそは署行きになる。僕は気にしないが、お前には少々厄介じゃないかい?」
と言った。
確かに、そんな事態が起これば捕まるだけでは済まなそうだ。
私は「よろしくお願いします。」と言って乗車した。
車内は、無言で、ただ車輪の音を聞く、、、
静寂な時間がとても心地よい。
(私、これからどうなるのかな、、、)
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作者名:めろんぷぁん | 作成日時:2015年8月10日 1時